羽生が残した“引退におわせ”
「“競技スケーターとしての人生をかけた最後の夢だと思っているので、すべてをかけてそこにたどり着きたいなと思っています”と言ったのが、“引退を示唆しているのでは?”と感じさせたんです。強い気持ちの表れでしょうが、“最後の夢”というのが気になりますよね」(前出・スポーツ紙記者)
4回転半ジャンプは羽生にとって悲願。ファンも応援しているが、その先に起きることが心配なのだ。
「もちろん、夢を叶えてほしい、と願っています。でも、その夢が叶ったら、競技スケーターとしての羽生結弦は、もう見られなくなってしまうのかも……。全力で応援はしつつも、引退“におわせ”の言葉も聞くと、正直、複雑な気持ちになってしまいます」(羽生ファンの女性)
とはいえ、まずは北京五輪での活躍を見たい。ライバルのネイサン・チェンも北京五輪に向けて始動している。
「新しいプログラムを準備していますね。ネイサン選手は母親が北京生まれ。そのため、北京五輪には特別な思いを抱いているようで、優勝への思いは強いでしょう。オリンピックが終わったら、現在休学しているアメリカの名門・イェール大学に復学して、医学の道へ進むことを発表しています」(前出・スポーツ紙記者)
羽生もネイサンに勝ちたいと考えているはずだ。しかし、今は勝利よりも4回転半ジャンプに目が向いているように見える。
羽生がこれほどまでに、4回転半ジャンプに執着するのはなぜなのか。
「アクセルは彼がいちばん好きなジャンプですし、まだ誰もやっていないジャンプだからこそ、4回転半を跳びたいのでしょう。ここ数年での目標というわけではなく、小さいころからの夢なんだと思います。オリンピック2連覇もそうですが、“歴史に名前を刻むことをやりたい”という羽生選手なりのアスリート意識があるんですね」(折山さん)
7月15日に発売された雑誌『Number』では、水泳の池江璃花子選手との対談で、現在の野望について語っていた。
《例えば勝つだけだったら、4回転半という今自分が挑戦しているジャンプは要らないと思います。だったら4回転の種類をしっかり増やして、いい演技をコンスタントにできるほうが絶対勝てるんです。でも、それじゃあ僕は競技者としてもつまらなくなってしまったというか、そこのモチベーションを感じなくなってしまったというのが正直なところです》
4回転半ジャンプを成功させて、今季を“有終の美”にするという思いもあるのだろうか。
「そういう気持ちよりは、“4回転半を試合でやりたい”というのがいちばんだと思います。それ以外のことはいっさい考えていないのではないでしょうか。ただただ“今季中に試合で4回転半を跳びたい”という思いだけ。達成した後のことは、まだ彼の頭の中にはないはずです」(折山さん、以下同)