キアヌ・リーヴスは、千葉と対面した際に「マエストロ!」と歓喜したほどだ。『アベンジャーズ』シリーズでおなじみ、サミュエル・L・ジャクソンが演じるニック・フューリーが眼帯をしているのは、彼が千葉演じる柳生十兵衛に影響を受けているからだ。
「『影の軍団』は、クエンティンとサミュエルが大好きな作品。彼らと会うと、よく僕の映画について語ってくれるんです(笑)。『影の軍団IV』で、僕が敵の首領を倒す前に、『名もなく地位無く姿無し。されど、この世を照らす光あらば、この世を斬る影もあると知れ。天魔伏滅!』と決め台詞を口にするんだけど、クエンティンが監督した『パルプ・フィクション』で、殺し屋役のサミュエルも人をあやめる前に聖書を読み上げるような決め台詞を口にする。実はこれ、僕へのオマージュで、クエンティンから『アイデアを拝借した』と伝えられた。なんとも遊び心がある監督ですよ」
ハリウッドで活躍する人々が敬愛してやまないサニー千葉は、今なお皆をワクワクさせる。
「日本映画をハリウッドで作らなければいけないと思います。そして、日本では時代劇を復活させなければいけない。毎日がディスカバリー。それを求めて今も生きていますね。何か新しいことはないかなって、そう思いながら生きていますよね」
水戸黄門で父子鷹!?
現在、千葉には秘策があるという。
「時代劇を復活させるため、いくつか企画書を提出しているんです。とりわけやってみたい時代劇がある。80歳を過ぎた僕が、まだ身体も動く中で演じたら面白いだろうなって思うのが『水戸黄門』! 絶対、面白いと思わない?」
そういたずらっぽく笑う姿は、“千葉ちゃん”の愛称で親しまれた姿そのままだ。千葉ちゃんが演じる黄門さま一行……見てみたいに決まっている!
「なぜ水戸光圀は全国を行脚することになったのか。そこにいたるまでのお話……いうなれば、『水戸黄門 エピソードゼロ』を作りたいんですよ。ストーリーもできあがっていて自信がある! 助さん、格さんは、真剣佑と郷敦でも面白い。実は、彼らも乗り気になっているんだ(笑)。時代劇を盛り上げたいという人の力を借りて、世界を振り向かせるような時代劇を作りたい。皆さんの声も応援になるので、ぜひ楽しみにしていてほしい」
力の源は、衰えることのないアイデアと野心。千葉真一は、永遠に現役だ。
(取材・文/我妻弘崇)