専門家が解説! 泡作りのポイント
『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』のヒットで改めて泡の魅力に気づかされたが、そもそも泡の役割とは?
「泡で覆うことで、ビールが空気と触れず、劣化を防ぐ。同時に泡がフタになって香りと発泡が維持され清涼感も保持されます。また、良質な泡は口あたりがよくなり、泡に苦味成分が集まることで、ビール自体の苦味がマイルドになり、ビールを飲み慣れていない方でも飲みやすくなります」(江沢さん、以下同)
泡の質により口あたりは変わり、ゆえに注ぎ方次第でビールの味わいは変化する。では、自宅で美味しい泡を作るにはどうしたらいいだろう。
「注ぎ方はもちろん、泡作りでポイントになるのがまずグラス。必ず清潔なグラスを使ってください。中性洗剤などでグラスを洗い、油や汚れをしっかり落とす。
グラスの拭き上げは行わず、そのまま伏せて水けをきります。布巾で拭いてしまうと、細かい繊維がついて、ビールを注いだ際に繊維に発泡が張りつき、炭酸を損なってしまいます」
グラスの温度も大切。
「ビールに溶け込んだ炭酸は温度が高いほど逃げ出し、冷たいと発泡を保持する。グラスを冷やすことできめ細かい泡を保ちやすくなります」
冷蔵庫で冷やすと、においが移るのが難点。おすすめは氷水での冷却。注ぐ直前まで冷やし、内側は布巾で拭かずに伏せて水けをきる。泡の保持力もアップする。
グラスの準備が整ったら、いよいよ泡が美味しい注ぎ方。江沢さんが推奨するのは、ビールの“3度注ぎ”。
「1度目は高い位置から注いでグラスを泡で満たし、2度目は泡を立てないようそっと注ぎ、3度目で7対3の黄金比を目指します」
“3度注ぎ”で作った泡は、ふんわりとして口あたりよく、香り高い味わいに。
3度注ぎがおっくうという場合は、陶器のマグを活用しても。
「より手軽に泡を楽しみたいなら備前焼のビアマグを。備前焼の肌目に炭酸が反応することで自然と泡が生まれます」
ちょっとしたコツを押さえれば、いつもの缶ビールもひと際美味しく、口あたりもなめらかに。ただし、発泡酒や新ジャンルに関しては、商品により、これらのワザが有効ではないものもある。
「発泡酒や新ジャンルはしっかりと冷やした缶をそのままパッと開けて飲むと美味しい商品も多い。もしグラスに注ぐなら、発泡を保つためにも“1度注ぎ”で泡を立てすぎず本来の清涼感やボディ感を楽しんでもらいたいですね」
プロが注いだ泡は、ふんわり、プルンッとしているのがポイント。一方、巷では数々の裏ワザがあり、その真偽も気になるところ。そこで編集部が検証! 代表的な4種の方法を実践してみることに。