[極意2]不可解な行動でもその理由を考えてみる

■行動の謎を解くヒントはその人の人生にある

「家にいるのに家に帰ると言う」「退職した会社に行こうとする」といった行動も、周囲をとまどわせる。引き留めると強く反発されることも多い。でも川畑さんは、その人の以前の仕事や生活ぶりをヒントに、本人が見ている世界を想像してみると、接し方がわかってくることがあるという。マンガから抜粋した元校長先生だった男性の話も、川畑さんが実際に体験したエピソード。

ていねいな介護をしても介護拒否が続く 荒木さんの場合 『マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界』より/浅田アーサー
ていねいな介護をしても介護拒否が続く 荒木さんの場合 『マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界』より/浅田アーサー
【写真】レジの支払いに時間がかかって…認知症の人が感じる“不安と悲しみ”をマンガで解説

 また、夜間に施設内を歩き回っていた女性が、元看護師だったと知った川畑さんは、これは夜勤の見回りをしているのではないかと予想。「巡回はやっておきましたよ」と声をかけたところ、夜のひとり歩きがおさまったという。

「やめるように説得したりせず、何をしたいのですか、などと話をすれば、その人が、どの時間、どの場所にいるかが見えてくる。その世界にこちらも入っていけば、本人もわかってもらえたと感じ、気持ちが安定するのです」