病院用の薬が市販化するケースも
少数意見が多く寄せられるなかで、久里さんが注目したのは「『新セルベール整胃プレミアム』。“テプレノン”(という成分)が医療用と同量含まれるため」(20代・女性)という回答。
「“テプレノン”は病院の薬にも使われている有名な成分で、胃の粘膜を保護する働きがあります。そうした信頼性の高さから挙げられたのでしょう。この成分が配合されている市販薬は以前からありましたが、昨年発売された『新セルベール整胃プレミアム』には、病院用と同じ量が使われています」
かつては医師の処方箋がなければ入手できなかった薬が最近、ドラッグストアや薬局でも購入できるようになってきた。前述した『ガスター10』や『ロキソニン』も、病院用の薬が市販化されたものだ。
「こうした動きを“スイッチOTC化”と言います。軽度の症状であれば市販薬で治すという動きは今後、加速していくでしょう。消費者にとっても、受診しなくても薬が手に入るなど利点があります」
●「胃腸薬」回答数トップ3
1位 太田胃散 8票
2位 ガスター10 5票
3位 第一三共胃腸薬 2票
【風邪薬】
風邪薬の中で最も多かったのは、なんと「飲まない」という回答! そもそも風邪はウイルス感染でかかることが多く、基本的に特効薬が存在しない。市販の風邪薬は、症状を抑えたり、やわらげたりする対症療法が目的だ。
「そのため無理して飲む必要はない、と判断する薬剤師が多かったのだと思います。特に、総合感冒薬にはさまざまな成分が含まれていて、例えば、鼻水を抑える成分の“抗ヒスタミン剤”は眠気を引き起こすことが多い。これらの理由から服用を避ける人もいるでしょう」
と、久里さん。回答の中にもそうした声が多い。
「症状に適さない余分な成分が含まれていることが多いので、買うことはありません」(20代・女性)
「中枢神経に作用するさまざまな成分が含まれているものがほとんど。治療効果も、出ている症状を抑えるだけで、期待が少ないと思うからです」(40代・男性)
次点が、漢方薬としてなじみのある『葛根湯』。
「ひき始めに服用すると悪化しないので」(30代・女性)
「自分で服用するうえで効果や副作用がわかりやすい」(40代・女性)
風邪の症状によって、服用する薬を使い分けている人も目につく。
「『龍角散せき止め錠』は、せき止め成分のコデインが多く含まれていて、(痰を排出しやすくする)去痰作用もあるので、せきがメインの風邪にはこれ」(30代・女性)
「『ペラックT錠』は、のどが痛いときに服用している」(20代・女性)
「咽頭痛(のどの痛み)からくる風邪が多いので、『ルルアタックEX』」(20代・男性)
『ペラックT錠』と『ルルアタックEX』は、炎症を抑える効果のある“トラネキサム酸”を配合。
「病院でも『トランサミン』という名称で処方されています」(久里さん)
●「風邪薬」回答数トップ3
1位 飲まない 10票
2位 葛根湯 8票
3位 パブロンゴールド 4票