話をするよりも大切、“趣味を見つけるお手伝い”

尾渡 でも、ご高齢の方は、若い人の話を聞いて、自分の経験を思い出したり元気をもらったりするということもあります。「こんなことがあったんですよ」と楽しい経験を話して「○○さんの若いころはどうだった?」と水を向けてみるのもいいと思います。

綾菜 言葉のキャッチボールを通して、元気になってもらえるといいですね。

尾渡 専門的には“プラスのストローク”というんですがほめる、認める、笑いかけるなどを心がけ、相手の心に栄養をためてもらいます。反対に、無視する、否定する、皮肉を言うなどは、元気を奪いますから避けたいですね。

綾菜 声のトーンや話すスピードなどで気をつけることはありますか?

尾渡 甲高い声より、綾菜さんのように少し低くてよく通る声のほうが聞き取りやすいです。はっきり、ゆっくり話すようにしたいですね。

綾菜 無口な人や、ネガティブになりがちな人には、どのようにコミュニケーションをとっていくのがいいですか?

尾渡 無理に話をしようとしなくてもいいんです。それよりも、何か楽しんでやれる趣味を見つけるお手伝いをするといいですね。散歩に誘うのもおすすめです。グチが多い方などは、自信を喪失していることが多いもの。

 何か小さな頼み事をして、感謝するようにしましょう。昔のアルバムを一緒に見て、若いころの思い出話をすることで楽しい気持ちになってもらえることもありますよ。

綾菜 意識すると違いますね。ありがとうございました。

【最近の加トちゃん家】
 夏休み。海で夏を感じてきました。いつも、仕事以外では部屋に閉じこもってる加トちゃんも、船で日光浴をしてこんがり焼けました。コロナ禍で閉じこもりがちなので幸せなひととき。波の音と海風を感じながら食べる納豆ごはんは格別でした。翌日、自宅で朝食に納豆ご飯を出すと食べてくれませんでした。海マジックはすごい。

PROFILE●加藤綾菜(かとう・あやな)●1988年4月12日生まれ。2011年に加藤茶と結婚し、45歳の年の差婚で注目を集めた。夫を支えるため介護を勉強。「介護職員初任者研修」(旧ホームヘルパー2級)、「介護福祉士実務者研修」(旧ホームヘルパー1級)を取得。TWIN PLANET所属。

今回対談いただいたのは……●尾渡順子さん●医療法人中村会 介護老人保健施設あさひな、認知症介護レクリエーション実践研究会。現場において高齢者に「人と触れ合う喜び」を伝え、介護従事者向けに「高齢者とのコミュニケーション、レクリエーション」の研修講師を務める。介護情報誌やメディアにおいて執筆なども手がける。

《取材・文/中村裕美(羊カンパニー)》