年金もらう愛され“若手芸人” 

「現役のすごい人」に直撃!(4)

 ●ティーチャさん「めいどのみやげ」

 芸人史上初、年金をもらう傍らデビューを果たした人がいる。お笑いコンビ「めいどのみやげ」のティーチャさん(86)。娘のサッチィーさんとともに73歳でコンビを結成、史上最高齢、当時は故・桂歌丸師匠より1歳年上の“若手芸人”としてデビューした。

 大学卒業後就職するも、演芸の世界でも活動。最終的な職業は「高校の体育教師」だった。

「48歳で教員免許を取得し、49歳で体育の先生を始めたんですが、始まりの15分は『俺の時間』だと決めていて、ネタを披露しながら授業の説明をしていました。あるクラスでウケたのが違うクラスではウケなかったりして、それも勉強になりました」(ティーチャさん)

 現在のネタの多くは「B29を竹槍で落とした」などの昔話や、「老い」そのものを題材にしたもので、普通の若手ではありえないいぶし銀すぎる芸がウケ、寄席にも呼ばれるなど、年下の先輩芸人たちからも可愛がられている。また、俳優としても重宝され、入れ歯のCMや映画出演など、培ってきた芸を幅広く活用している。

 現在はコロナ禍でライブの仕事ができないのが残念だというが、来る日のために1日5000歩のウォーキングは欠かしていない。

「やっぱり年齢をいい訳にしたりして躊躇(ちゅうちょ)しないで、自分がやりたいと思ったことはどんなことでもトライするべきです!私もいつまでもわくわくしたい。今の言葉で言うと『キュン』ですか?死ぬ瞬間まで元気でがんばりたいと思います!」(ティーチャさん)

 サンミュージック所属。1935年生まれ、東京都出身。ピン芸人「年金ちゃん」としての活動も。映画『哀愁しんでれら』(2021)では土屋太鳳・田中圭との共演も果たす。現在、娘が作った『バリアフリー音頭』で新人賞を狙っているそう。

〈取材・文/高松孟晋〉