母親にいつもダメ出しをされながら育った

 あきえさん(41歳、仮名)は、婚活をして半年になります。真剣に婚活をしていると、疲れが出てくる時期です。あきえさんが、3度ほどデートをして、いいなと思っていた男性から、先日交際終了が来ました。そのお断りの理由がこうでした。

「“私なんか”が口癖で、自分に自信のない発言が多くて、結婚しても楽しい時間を過ごすことができないと感じました」

 あきえさんは、有名私大を卒業後に公務員になり、年収も安定していました。とても優秀な人なのに、私と面談しているときも、ネガティブな発言が目立ちました。また婚活がうまくいっていなかったので、さらにネガティブ発言が多くなっていたのでしょう。

 交際終了が来たことを伝えたあとに、私はあきえさんに言いました。

婚活に一番大事なのは、マインド設定なんですよ。生きていれば、何か問題にぶつかりますよね。そのときに、ポジティブに考える人は、1歩前に進める。ネガティブに考える人は、1歩後ろに下がるんです。そして、何か問題が起こる度にそれを繰り返していくと、ポジティブな人は前へ前へ、ネガティブな人は後ろへ後ろへと下がっていくから、人生に大きな差が出てしまうんですね。

 婚活もそうですよ。前向きに考えている人は、いい結果が出なくても気持ちを切り替えてどんどんお会いしていくので、ご縁を引き寄せられるんです。でも、マイナス思考の人は、ひとつの失敗にクヨクヨしていて、後ろ向きな気持ちを抱えてお見合いに行くから、暗い雰囲気しか出せない。そして、発言もネガティブになる。そうなると、いい波がきていても、ご縁が素通りしてしまうんですよ」

 こういう私に、あきえさんは、言いました。

「母が幼いころから私に、ダメ出しばかりする人だったんです。テストで70点を取ると、『どうしてこんな悪い成績なの』、90点を取ると、『なんで100点が取れなかったの?』と。良くても悪くても、否定されるんです。そういう母に育てられたから、私どこかで自分に自信が持てなくなったのだと思います」

 あきえさんは、自分がネガティブ思考であると分かっていました。でも、その考え方が辞められないのです。そこで、私はこんなアドバイスをしました。

ネガティブな感情を抱いたら、いったんそれは自分の中で受け止める。紙に書いてみるのもいいですよ。そして、それがどうしたらプラスに転換できるのか、その方法を考えてみたらいいんじゃない? あと、物事ってどの角度からそれを考えるかで、プラスにもとらえられるし、マイナスにも考えることができると思うんです。

 例えばドライブデートで、渋滞にハマったとしますよね。“お昼前に目的地に着けると思っていたのに、ついてないな”と思ってしまったら、まずはその感情を一度自分で受け止める。で、そこから“あ、でも、渋滞に巻き込まれたおかげて、車の中で話す時間がたくさんできたわ。いい機会だから、彼の結婚観をじっくり聞いてみよう”と思えば、渋滞もポジティブに捉えられるようになるんじゃない?」

 私の言葉は、あきえさんにどこまで響いたかわかりませんが、今も婚活を続けています。結婚できる人は、どういう人かというと、諦めずに会い続けた人です。あきえさんもお見合いを続けていくうちに、結婚できるお相手に巡り会えるはずです。

 識者によると、性格は、生まれ持った気質(遺伝)と育った環境によって形成されるのだそうです。ならば、親の影響は絶大です。ただ個々が意思ある大人なのですから、自分の性格とうまく向き合いながら、自分に合った結婚相手を探せばいいのではないかと思っています。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。新刊100日で結婚(星海社)好評発売中。公式サイト『最短結婚ナビ』 YouTube『仲人はミタチャンネル