日本映画界のみならずハリウッドでも活躍したアクションスター・千葉真一さんが、新型コロナウイルスに罹患しこの世を去ったのは8月19日のこと。千葉さんの知人は「いまでもまだ信じられない……」とため息をつく。

「あれだけ元気だった人が、入院してたった10日余りでねぇ……。ちゃんとワクチンを打つように言っていたら、死なずにすんだかもしれないと思うとね。コロナ禍なので通夜も行えなかった。告別式も長女の真瀬樹里さん、次男の眞栄田郷敦くんとそのお母さんで前妻のA子さんの家族3人と、ごく一部の親しい人だけが参列してね。コロナだから仕方ないんだけれど、あれだけ愛された人なのに、こんなにも寂しい終わり方なんだなぁって……」

 郷敦の兄で長男の新田真剣佑は、愛する父との最期の別れも叶わなかった。初主演となるハリウッド映画・実写版『聖闘士星矢』の撮影で海を渡っていたためだ。その真剣佑だが、すでに極秘で帰国しているという。

ローンは500万円残った、それでも業者は工事を進めて

9月25日に日本に帰ってきているんです。四十九日法要に参列するためにね。“千葉さんが亡くなった”という知らせを聞いたとき、真剣佑さんは映画撮影の真っただ中。それでもなんとか帰国できないか手を尽くしたそうなんですが、2週間もの“コロナ隔離期間”がネックになってとうとうダメだった。“四十九日にはどうしても帰りたい!”と思っていたため、9月中旬に撮影が終わるとすぐに帰国したんです」(真剣佑の知人)

 その愛する息子2人のために、千葉さんが遺していたものがあるという。亡くなる直前まで千葉さんが暮らしていた千葉県君津市を訪ねた。

千葉さん、君津の自宅を改築している最中に亡くなってしまったんですよね。実はこの改築は、真剣佑と郷敦のためにやっていたんです

左から新田真剣佑、眞栄田郷、千葉真一さん
左から新田真剣佑、眞栄田郷、千葉真一さん

 長年の付き合いだというこの友人によれば、千葉さんは、2年がかりで広大な自宅を改築し続けていた。

「家中のあちこちに手を入れていてね。私が“なんでこんなにリフォームするの?”と尋ねたらニヤッと笑って“いずれ息子たちに、この家を別荘として使ってほしいんだよ。だから今のうちにピカピカにしておきたいんだ”って」(同・千葉さんの友人)

 映画製作の負債、俳優養成学校開校をめぐる訴訟、家賃踏み倒し騒動……生前、数々の金銭トラブルに見舞われていた千葉さん。抱え込んだ借金は、総額5億円とも7億円とも言われた。

その借金もあらかた返し終わったとはいえ、決してお金に余裕があったわけじゃないのに、もうありとあらゆる部屋を真剣佑と郷敦が使いやすいように造り変えていて。でも、やっぱり改築の費用は一括では払えなかったみたい。毎月50万円ずつのローン払いにしているって聞きましたよ。千葉さんが逝ったとき、そのローンがまだ500万円ほど残っていたそうなんだけど、業者は最後まできちんと工事をやってくれたって。家が完成したのは、千葉さんが亡くなって2週間くらいたってかな」(同・友人)

 豪放磊落な男が最期の“散財”に込めていたのは、遺していく家族への愛だった─。