これまでに「道が汚いから掃除してほしい」「父親がいなくなったから一緒に探してほしい」といった依頼にも対応したのだとか。
「経済対策に取り組む議員が多いですけど、僕はそれじゃないなと。自分はどちらかというと恵まれていない子どもなど、困っている人の味方でありたい。実際に会って話して、顔を覚えてもらって、話しかけてもらうのがいちばんだなと」
地道な地域貢献で、好意的な声も増えていったそうだ。
「あいつでもやれた」と思われたい
「市議会を傍聴しに来る子どもがいたり、市民に“ちゃんと喋ると普通にいい人だ”と言われてうれしかったです。戸田市の子どもたちは僕のことを戸田市長だと思っている子も多くて、あるときは僕のほうを指差して“市長だ!”と言われたこともあります(笑)」
戸田市に住む子どもたちから好かれ、ときには子どもからボランティア活動に誘われることもあるそうだ。
「(子どもが)自宅の前に飲み物置いてくれたり、手紙とか、バレンタインデーのチョコレートを作って持ってきてくれたりも。会いに来てくれる子どもに、こども食堂のスタッフをお願いすると、快く引き受けてくれたり。まだまだ困っている子どもはたくさんいるので、(市議会議員ではなくなっても)もっと活動の幅を広げていきたいとは思っています」
政治家の枠にとらわれず、市民の声を拾い続け、多くの人に現状を知ってもらう使命感が強いようだ。今回の裁判では残念な結果となったが、「政治家として復活するまで、戸田市での貢献は続けていく」と語る。
「最近では“政治家とはどうあるべきなのか”って自問自答したりもするんですけど、今までやってきた活動は苦に感じないですし、可能なかぎり続けていきたいです。市役所の広報よりは発信力があると思っていますし、続けることが大事かなと」
将来の展望を聞くと「来年の参議院選に出馬して、次の戸田市議会選挙までには国会議員になりたい」と明かした。
「損得勘定なしで活動を行いつつ、気づいたら(国会議員に)普通に当選している状態がいちばんいいですね。きれいごとですが、最初は軽いノリでも“あいつでもやれたんだから”と思われるような人になりたいなと」
来年からは、大学に通う予定だという。より多くの人に信頼してもらえるよう、政治学で修士の取得を目指すとのこと。
「11月に高卒認定が取れるので、来年は通信制か夜間どちらかの大学に行こうと思っています。今までは物珍しく見てた人もたくさんいるはずですし、きちんと4年間大学で学ぶことも大事なので」と、今後のビジョンを口にした。
今回の裁判での敗訴を受け、今月中に最高裁に上告する予定のスーパークレイジー君。裁判で戦いながらも、自身の破天荒な経歴や発信力を活かし、地域貢献に注力している。道のりは長いが、彼の奮闘はまだまだ続いていく。
取材・文 佐藤隼秀