経済的な不安から
口に出してしまった“暴言”

 香織さんは、子どもの将来を思うと夜眠れなくなると言います。

「私はひとりっ子だったので、どうしても2人目が欲しかったんです。すぐに妊娠できたのはよかったのですが、そのため貯金もできず、これからどうしようと泣いてしまうこともあります」

 香織さんが経済的な不安を感じるのには、原因がありました。

「容子さんの子どもはもう12歳で、この春、中学受験で大学付属校に合格しました。合格した学校を調べてみたら、学費が年間100万円以上かかるみたいなんです。大学受験の心配もないし安泰だと思うと、悔しいんです」

 将来の不安から、容子さんを見ているとつい、おせっかいを言ってしまうそうです。

「自分がひとりっ子で寂しかったので、容子さんには『子どもがひとりっ子なのは可哀想』と伝えました。また『中学受験させるなんて、子どもがラクなほうに行くからよくないよ』とアドバイスをしました」

 容子さんからは「人を否定するようなことを言ってばかりいると、好かれないよ」と言われてしまったそうです。香織さんは後悔することもありますが、彼女を見ていると、つい相手が嫌がるようなことを言いたくなってしまうのです。

 あるとき容子さんにメッセージを送ると、既読も付かないようになっていました。気づいたら、これまで読めていた容子さんの投稿も見られなくなっていました。そこで初めてSNSがブロックされていると気づいたそうです。

「容子さんの楽しそうな笑顔のプロフィール画像を見ると、自分が悪いとはいえ、さらに悲しい気分になるんです……」

 学生時代はお互いを理解しあえていても、就職や結婚、出産など環境や立場が変わってしまうと、認め合うのは難しいかもしれません。特に、SNSでは相手の生活スタイルが見えてしまうので、他人が気になるタイプの人はチェックしすぎてしまう傾向もあります。大切な友達を失わないためにも、つい相手の動向が気になるようになってしまったら、一度、SNS断捨離をして距離を置いたほうがいいかもしれません。


池守りぜね◎東京都生まれ。フリーライター。大学卒業後、インプレスに入社。ネットメディアで記者を務めた。その後、出版社勤務を経て独立。育児、グルメ、エンタメに関する記事のほか、インタビューも多数執筆。『一瞬と永遠』、『絶叫2』など、映像脚本も手掛ける。プライベートでは女児のママ。Twitter:@rizeneration