B子さんは“これから車で迎えに行く”と言ったが、
「“こちらから送っていったほうが早いから”と車で娘さんを家まで送り届けました。すれ違う車がほとんどタクシーで迎車だったことを覚えています。電車が止まっていますから、乗客が帰宅するためのタクシーを呼んだんでしょうね」
学校に通えないほど心の傷を
A子さんは帰宅するために再び国領駅近くまで行くと、警察官、消防隊員、救急隊員などでごった返していた。そのため、マンションの駐車場にはなかなかたどり着けなかった。近くにいた警備員に尋ねても、
「こちらも情報がなくてね。わからないんですよ」
などと言われたという。駅周辺を何度もグルグル回って帰宅できるタイミングを待っていた。そのうちに、容疑者が目に入ってきた。
「紫色のスーツ、緑色のワイシャツという異様な姿で、堂々と歩いていました。その周りを警察官が囲むようにしていましたけどね。あとで列車内の映像を見ましたが、容疑者は車両内のシートに座って、ふてぶてしくタバコを吸っていましたよね。でも、ふかしているだけで、虚勢を張っているように思えました」
B子さんの娘はあの日、高校の文化祭だったという。
「役員か何かやっていたようで、あと片づけなどで帰りが少し遅くなったそうです。それで、あの列車にたまたま乗ってしまった……。しかも犯人と同じ車両にいたんだそうです。娘さんのショックは大きいようで、学校にはまだ通えていないようです。本当にかわいそうで……」
警察の取り調べに対し服部容疑者は、
「仕事や友人関係がうまくいかず、人が多いハロウィンの日に大量殺人を計画した」
と供述。容疑者のあまりにも身勝手な犯行に、心を傷つけられた人が多くいる――。