従業員が抱える不満、パワハラの温床にも

 長時間労働と給与の不満は多くの従業員が抱えている同社の根深い問題だ。

 会社側が勤怠を操作しているケースもあったという。

「威圧的で怒鳴り散らす上司からのパワハラによって心の病になってしまう人もいます。上からパワハラを受けて業務にあたっていた若手が管理職になったとき部下に同じことをする。負の連鎖が起きています」(前出・組合関係者、以下同)

 さらに問題なのが従業員が留守の間に社員寮に無断で立ち入り、室内を撮影するなどの行為だ。完全なプライバシー侵害にもかかわらずこれまで黙認されていた。

「会社の言い分としては部屋をきれいに使っているかの確認、だそうです。会社の弁護士も会社の管理物件だから問題がないと言いますが……」

 社員寮では新型コロナ陽性者が出たこともある。濃厚接触者が複数名いるにもかかわらず、会社側は「うちは(PCR検査は)やらないんで」との回答を聞いた人もいる。

 各地で労災隠しも横行しており、次から次へと出てくる問題の山……。

 実は部下と会社の間に入る管理職も上の顔色をうかがいながら仕事をしているという。

「左遷をちらつかされているんです。本社で部長クラスであっても会社にたて突くと見せしめのように一支店の支社長に異動させられることがあります。肩書も給与も下がる。その恐怖を管理職は持っていると話す人もいます。役職を上げたり下げたりして意思をコントロールしている。同じ支社で落とされるのは管理職にとってキツイ。これも会社からのパワハラではないでしょうか」

 こうした背景に見えるのが経営者らのやり方だ。

「こうした前時代的な会社経営を続けている原因はトップダウンの親族経営であることも理由として考えられる。本社の役員会が機能しておらず、これまでの問題が改善・再発防止されていない。会社は社員ではなく株主のことしか考えていない」