シングル親が困るといった意見も
6歳までは入れるように改正された指針では少し足りない気もするが、子どもの意見も取り入れたことは評価できる。しかし、一部からはこんな声もーー。
「私はシングルマザーなので、息子をひとりで男湯に入れることに不安を覚えてしまいます。滑って転倒しないだろうか、湯船で溺れたりしないだろうか……。小学生の高学年なら心配はないかもしれませんが、1年生や2年生だと気になってしまいますね」(都内在住20代女性)
厚労省の担当者は、
「改正前には、シングルマザーやシングルファーザーの団体にも話を聞き、おおむね了解を得られたと考えております。年齢についてはそれぞれの考え方があるので一概に線引きできるものではないことはわかります。なので、国からは指針という形でベースを出して、それぞれの自治体で地域の声などを受けて変更してもらえれば」
あくまでも「おおむね7歳以上」は義務ではないとのことを強調する。確かに低学年の子どもを持つひとり親にとっては、頭の痛い問題かもしれない。
「“シングルの人が困る”といった意見もわかります。海外だと、10歳以下の子どもをひとりにするだけで虐待していると見られる国もあります。子どもを守るという視点では大切なことですが、異性ばかりの中で裸で入浴することを嫌がる子だっているんです」
と高祖さんはシングルの意見に理解を示しつつ、解決法を提案する。
「昔なら銭湯の常連さんや、隣人の親しい人に“子どもを見ていてください”とお願いできました。今はそういったお付き合いが少なくなっているので、友達の家族と何人かで一緒に行くのはいかがでしょうか。男湯と女湯別れて、それぞれの子どもと一緒に入れば安心ですよね。
入浴の話に限らず子育て中は、視野が“私と子ども”といった狭いものになりがち。そこにほかの家族の大人たちが入ってもらうことで、ずっと楽になります。“こうなったら出来ない”ではなく“こうすればできる”という方法を見つけることが大切だと思います」
北海道のとあるスーパー銭湯では、10年ほど前から独自に混浴は小学2年まで、というルールを作っていたという。そこでは銭湯のスタッフが子どもの身を守るサービスも。親の不安な気持ちもわかるが、親離れ・子離れのいい機会になるのかもしれない。