おおらかで親しみやすいキャラクター。マスコミへのリップサービスも欠かさない。しかし海を渡る前、上原はまるで“別人”だった。
ただの「日本から来た投手」
「プロ入りしてから巨人でプレーしていた頃は、マスコミに対しても冷ややかな対応で知られていました。プロ入り前は松坂大輔と並ぶドラフトの目玉。上原本人にメジャー志向が強く、実際にメジャー球団とNPB球団の争奪戦だったこともあり、上原の株はストップ高だった。結局は逆指名で巨人に入ったが、天狗になるのも無理はない。
とはいえ、上原より10歳以上年上の記者たちがまるで相手にされず、記者たちの間で評判は最悪。巨人軍という組織が余計にそうさせていたのかもしれませんが、巨人にいたって塩対応の選手ばかりじゃない。正直、当時の上原はマスコミからは煙たがられていました」(スポーツ紙記者)
ところが、上原に転機が訪れる。08年オフ、海外FA権を行使して挑戦したメジャーリーグ。オリオールズと2年1000万ドル+出来高で契約するも、1年目の中盤で故障。
2年目以降は中継ぎや抑えとしての起用が増え、レッドソックスではクローザーの座に定着。13年には73試合に登板、21セーブを挙げた。
「大リーグに移籍後、しばらくして上原を取材したとき、驚きました。巨人時代に醸し出してたマスコミへの警戒心は皆無。取っつきにくさもなくなっていたのです。移籍初年度は注目もされていましたが、ケガによる離脱も多く、米国で上原は『ただの日本から来た投手』という扱い。
巨人という温室から環境は一変した。現地メディアからの取材攻勢もなく、日本のメディアが取材に来て嬉しかったのでしょう。みるみる笑顔になって向こうから近づいてきた。そんな上原を想像していなかったのでビックリ。当時の巨人担当者の中では『上原はメジャーに行って人が変わった』という話題で持ちきりでした」(前出のスポーツ記者)
ここまでキャラ変すれば、上原にも「あっぱれ」をあげるしかない。