女性が刑務所に入る罪状で多いのは、窃盗と覚せい剤だ。

再犯率が高い犯罪

 最上さんの刑務所では、周囲の受刑者の8割が覚せい剤だったという。

「覚せい剤を打った人は、3年くらいの刑期では、その快感を忘れられないそうで、依存性の高さに驚きました。刑務所内で、針や砂糖を見ると、『覚せい剤を思い出して、またやりたくなる』と言ってましたから。

 だから、せっかく出所してもまたすぐに戻ってきてしまうんです。でも、最初に自ら覚せい剤に手を出した人は少なくて、恋人から知らないうちに服用させられていたことがきっかけ、というケースも多いのがやるせなかったですね

 なかには、刑務所に入りたくて、万引きなどの犯罪を繰り返す人もいる。

「高齢の受刑者は、出所しても仕事もなく、年金もなく、頼れる家族もおらず、行き場がない人も多かったです。刑務所に入れば、寝るところがあり、食事も出て、お風呂にも入れます。介護用のおむつは無料ですし、お金のない高齢者は、『刑務所は天国だ』と話していたくらいです。だから、つかまるために万引きを繰り返し、また刑務所にやってくるのです」

「苦悩する女性囚」マンガ/小池恵子『女子刑務所はこわいよ』(竹書房)
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LGBTの受刑者の扱い

 見かけは女性だが心は男性だったり、その逆だったりするLGBTの受刑者。LGBTでも雑居房に入れられるのだろうか。

「LGBTの人は独居房でした。入浴も単独です。過去にLGBTの人が雑居房に入って、過ちが起こったことがあるという話も聞きました」

 男性がいない女子刑務所では、“女性に人気の女性”といった受刑者も。

「女子刑務所では、宝塚の男役のような端正な顔立ちの人がやはり人気でした。受刑者だけでなく、カッコいい女性刑務官に恋するケースもありました。具体的に何かができる環境ではありませんが、みんなで『カッコいいよね』などと言い合ってましたね」