楽しく安全なカラオケの今後

 前出の片岡さんが付言する。

カラオケボックスは時代への対応力があるんですね。大画面・大迫力のオーディオ設備を有するだけではなく、厨房があって、立地もいい、そして個室という環境。楽器の練習や語学学習の場といった形で活用されているケースもある。各部屋にヒントがあり、答えを導き出す『謎解きゲーム』のトライアルをした店舗もありました

 転んでもタダでは起きない。こうした努力を徒労で終わらせないために、カラオケ業界が一丸となって、自発的に安心・安全対策を進めてきたことは、もっと知られてもいいはずだ。

カラオケ業界にも大打撃を与えた新型コロナウイルス ※写真はイメージです
カラオケ業界にも大打撃を与えた新型コロナウイルス ※写真はイメージです
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「2021年11月に、政府の基本的対処方針が改定されました。それまで、カラオケは慎むような内容でしたが、仮に再び緊急事態宣言が発令されても、知事の判断こそありますが、ワクチン接種証明を持っている人、定員を50%以下にするなどの条件であれば利用してかまわないと。大きな前進です。一定条件下ではあるもののわれわれの安全性が認められたと解釈しています」(片岡さん)

 だからこそ、こびりついてしまったイメージを払拭するために、「カラオケは安全です」と啓発していくことが大事と話す。

やはりカラオケボックスのキラーコンテンツはカラオケなんですね。カラオケの参加人口は、国民の半数を占めています。カラオケによってストレスを発散する人、健康維持に役立てている高齢者は多い。健康の2次被害を防ぐためにも、一日も早く安心してカラオケを楽しんでいただけるよう、われわれも努力していきたいです」(片岡さん)

「広さではなく、気流の上昇が安全を左右します」〜医学博士・吉田友昭さんが語る、安全な換気の仕組みとは〜

感染制御医、医学博士、日本細菌学会会員の吉田友昭さん
感染制御医、医学博士、日本細菌学会会員の吉田友昭さん

「スナックやバーなど換気機能に乏しい店舗もあると思います。そういった場合は、首掛けファンを装着することで飛沫を頭上に舞い上げることが有効となります。スモークを使って検証すると、その部屋のエアコンなどの風を天井と水平に流れるように適切にセットすれば、首掛けファンで天井近くまで舞い上がったスモークを、水平の風で天井や対面にある排気口に押し流せました。

 つまり、人の頭上の空間を活用して飛沫を流すことで、隣人が吸い込みにくくできるわけです。換気で重要な点は、吸い出すのと比べて押し込むほうがずっと容易だということです。

 一般的に言って、部屋が広いほど気流の制御は難しくなります。飛行機での伝播でわかるように、換気が相当速くても、水平方向の隣人への伝播が起きやすかったり、排気口への流れがスムーズでなくなったりするのです。その点、5〜6名定員のカラオケボックスは、きれいな上昇気流を作りやすく、かなり安全だといえるでしょう。

 一律の方針に盲目的に従うのではなく、2年の経験を生かし、各個人で考えていく段階にあると思います」