3連覇の期待がかかる羽生はどうか。

羽生選手は、その表現力が見どころ。4回転半に挑むことが注目されていますが、ひとつの技だけではなく、演技全体を通して、彼ならではの壮大な世界観を表現してくれると思います」

 2月3日、日本スケート連盟のTwitterに投稿された動画で、羽生は北京五輪についてこう語っている。

「4A(4回転アクセル)も含めて、絶対に勝ちを獲りにいきたいなと思っています」

 昨年12月に行われた北京五輪代表の選考会『全日本選手権』まで、五輪については明言を避けてきた羽生。3連覇への決意を固めたのは、『全日本』優勝後、五輪代表のジャージに袖を通してからだという。

 その思いを後押しすべく動いたのが、地元の宮城県仙台市。450人を動員する予定だったパブリックビューイングこそ、コロナの影響で中止になったが、県内外から応援の声が届いたこともあり、市役所には応援看板が設置され、等身大パネルなどの展示が行われている。

「羽生選手は前回大会で、男子フィギュアでは66年ぶりとなる2連覇の偉業を成し遂げられました。3連覇を目指して、これまで培った力を存分に発揮されますよう、仙台市民一同、応援しております」(仙台市スポーツ振興課担当者)

北京はあまり考えていなかった

 そして、宮城県登米市には、工業高校で教師をしていた羽生の祖父の同僚を中心に結成された『羽生結弦 ふ・る・さ・と応援団』がある。エールを送るのは、団長の春日了剛さんだ。

「2014年のソチ五輪、2018年の平昌五輪では、近隣住民や結弦くんのおじいさんと面識のあった人が集まって応援をしました。3連覇を果たしたら、日本人としては前人未到の偉業ですし、世界的にも素晴らしいこと。叶えられるよう、心から応援しています」

 多くの人の思いが込められた3連覇。当の羽生は、最新のフィギュアスケート専門誌でこう語っていた。

《五輪2連覇が子どものころから常に強く描いていた夢であり目標だったので、北京はあまり考えていなかった五輪となります。(中略)2連覇を強い覚悟でつかみとることができたからこそ、この五輪で、2連覇という実績を壊してしまわないかという怖さもあります》(『アイスジュエルズ』Vol.15)