どのくらいの準備が必要?
「自宅療養をしなければならない場合には何が必要かを一日も早く家族と一緒に考えましょう」(岡田さん、以下同)
重要なのが食料品。保存でき、温めるだけで食べられるおかゆやスープなどのレトルト食品、カップラーメンなどのインスタント食品はマスト。
「療養のとき、回復したとき、それぞれの食料品を準備しましょう。忘れがちなのが回復したときの食事。このころには食欲は戻ってきます。感染した友人に送った支援物資でいちばん喜ばれたのはレトルトのサムゲタンのスープでした。ボリュームがあるものも食べたくなるようです。お米やうどんなどの主食もストックしておきましょう」
濃厚接触者となり外出できない家族や、回復してからの食事がカップラーメンだけだとわびしさもある。お湯を注げば食べられるフリーズドライタイプのかつ丼や親子丼の具など食べ応えのあるものを用意してもいいかもしれない。
熱を冷ますジェルシートや薬類、体温計も必須。『軽症』といっても38度、39度の高熱が出るケースも少なくない。総合風邪薬や解熱剤も忘れずに準備しておくこと。
「血圧の薬など、普段から飲んでいる薬がある場合は多めにもらっておきましょう」
家庭内感染を防ぐための消毒用アルコールや不織布マスク、ビニール手袋などの衛生用品も必須。ティッシュペーパー類やゴミ袋もストックしておきたい。必須の10項目には入っていないが、乳児がいる家庭ならミルクやおむつなどの準備を。自分や家族が日常的に欠かせないものは何なのか話し合い、それも加えるといざというときに困らない。アイテムは使う家族の人数×1週間分は最低でも準備しておくこと。
「2、3日熱が出たときのことを想定すると食品も2つ3つでは足りません。家族の好みなどもよく聞き、人数分を準備することが大切です」
実はこれらは自宅療養だけでなく、地震などの災害時を想定した防災備蓄にもなる。そして時間的に余裕をもって準備することにも理由がある。岡田さんが説明する。
「これ以上の流行がきてから慌てて買いに行くと必要なものが売り切れになっている可能性があります。おまけに人が集まることで売り場が『密』になります」
感染力の高いオミクロン株。人が密集すればそこで感染リスクは上がるのだ。
「風邪の症状ですむ人もいますが、中等症以上、肺炎になる人もいます。基礎疾患がある人や50代以上の人は侮ってはいけません。オミクロン感染がきっかけになり、持病が悪化する場合もあるのです」
そのためにもなるべくかからないよう十分注意するに越したことはない。
冒頭の比嘉さん一家のように親が感染したとき、子どもがどう看病するかも話し合っておきたい。中学生が親を看護する、大学生が両親と祖父母を看護する、といったことも十分ありうることだ。
「看病するときは感染した家族が寝ている部屋の加湿、家中の換気、こまめな手洗いも心がけましょう。換気はただ窓を開けるのではなく、家中の空気を入れ替えるつもりで。換気扇をつけたままにしておくのも効果的です」
まだまだ収束が見えない新型コロナウイルス。
「かからないことがいちばんですが、現状では難しい。なのでかかったときにも慌てることがないように備えてほしい。自分の生活に何が必要なのか、家族と話し合い、イメージすることも大切です」