4 2回目接種から、8か月たつまで接種しなくていい?
これまで国の方針では、前回の接種から8か月を目安にブースター接種を受けることを推奨していたが、接種状況の遅れを受け、高齢者や医療従事者の接種間隔が急きょ6か月に短縮された。
「実は8か月という日本の目安自体あまり根拠がない数字で、海外では2回目接種から6か月後としている国が多いです。接種直後から抗体量は徐々に減少し、6か月ほどで抗体価は10分の1ほどになるため、そこがブースター接種の目安となっています」
8か月を待たずに接種したいと思っても、実際に打てるかどうかは別問題だ。
「実際のところ、国の方針が急に“6か月でもいい”という内容に変更になったので、8か月のつもりで準備をしていた自治体の多くは接種の体制が整っていない場合が多いです。当院もやっと予約を受け付けられるようになったばかりですが、この先、各地の接種体制は急ピッチで整備されていきますので、不安な方はなるべく早く予約をとれるよう、自治体の情報などをしっかりと確認してください」
5 新たな変異株が発見されたら、現行のワクチンの意味なし?
現行のワクチンは、新たな変異株に対してはどれくらい効果があるのだろうか。
「多少なりとも予防効果が落ちてしまうことは十分に考えられますね。ウイルスはワクチンに対抗して生き延びようとするので、確実に変異は進みやすくなります。変異株に対抗できるワクチンの開発も進んでいますが、新ワクチンが出回るまでにはどうしても時間がかかります。ワクチンとウイルスのイタチごっこになると、ウイルスのほうが一枚上手ですね」
この先の変異株に効かないならば打たなくてもいいのではないかとも思えるが……。
「オミクロン株に比較的軽症例が多いのは、既存のワクチン接種によって得られた免疫の効果も大きいと思われます。また、変異を経て感染力が強まっても、毒性は弱くなっていくというのがウイルスによく見られる傾向です。インフルエンザも100年ほど前にパンデミックが起き、収束までに30年ほどかかりました。今では飲み薬も有効なワクチンもあり、社会活動を止めるほどの感染症ではありません。コロナも同じようにいつかは落ち着いていくと思いますが、特効薬や画期的なワクチンが開発されるまでは現在のワクチンと感染予防で戦っていくしかないですね」
残念ながらまだまだ続く新型コロナとの攻防戦。ワクチン接種を含め、個人ができる限りの対策をとるしかない。
お話を聞いたのは
安藤大樹先生
あんどう内科クリニック(岐阜県岐阜市)院長。医療法人社団藤和会理事長。『医療よろず相談所』をクリニックのコンセプトに掲げ、生活習慣病や感染症、内科系疾患のほかストレスからくる心の不調など、医療のあらゆる問題に対応するプライマリ・ケア医。