氷上のチェスと呼ばれることもあるカーリングは分析力と戦略が重要だが、身体能力の高さも求められる。
「選手はストーンを投げるのもブラシで掃くのも、どちらもやることになります。掃くほうは、ものすごく体力を消耗しますよ。無酸素運動を10秒以上するようなものですから。呼吸が整わないうちに投げなければいけないこともあって、そこでメンタルの強さが重要になってきます」(カーリング関係者)
フィフス・石崎が精神的支えに
精神力の強さで知られるのが、スキップの藤澤。彼女をチームに誘ったのが敦賀氏と本橋だった。
「五月はもともと、スキップとしての責任感がものすごく強い選手だったんです。彼女が来たときのテーマは、五月にチームが合わせるのか、チームに五月が合わせるのか、ということでした。結局、技術的な面は五月に合わせることになりましたが、雰囲気的な面はロコに五月が合わせたわけです」(敦賀氏)
藤澤の姉が彼女のことを“ジャイアン気質”だと評したことがあるという。そのぐらい強気なのだが、ほかのメンバーもキャラが立っている。
「それぞれをひと言で表現するなら、リードの夕梨花が“しっかり者”、セカンドの夕湖が“ムードメーカー”という感じ。サードの知那美は“コントローラー”。指示するのは五月ですが、試合中に表情と言葉を使って五月をサポートする役目ですね」(敦賀氏)
そして忘れてはならないのが、フィフス石崎の存在だ。
「控え選手は普通、オールラウンダーが務めますが、彼女はリードの経験しかない。ただ、長いキャリアでいろいろな目線で見てきたから、冷静な判断ができる。また、男性コーチ陣の指示を、彼女がうまく伝えることも必要になってくるんです」(敦賀氏)
石崎が勤務する松田整形外科記念病院の菅原誠理事長も、彼女の冷静さを称賛する。
「医局全般のドクター補助業務で、診断書の整理などの雑務をこなしながら、各科のつなぎ役を務めるというポジション。常に冷静沈着に、広い視野で見られるので、各ドクターからも安心して仕事が任せられると評判です。ロコ・ソラーレでの役割と同じで、うちの精神的な支えになっていただいていますよ」