“冷凍だから安全”の考えは危険
東京都福祉保健局によれば、アニサキスによる消化器疾患の発生事例は、年間500~1000例。生の魚を購入するより市販の冷凍サバを利用すればリスクが回避できそうだ。
「10年ほど前、冷凍食品の開発をしていたとき、さまざまな冷凍技術に触れましたが、その中にCAS凍結というものがありました。CAS凍結とは、セルアライブシステム凍結の略。ずっと小刻みに食品を揺らしながら凍らせる方法です。
“生の魚をCAS凍結すると、解凍したら生き返る”と言われるほど、鮮度を保つシステムです。冷凍の技術は日々向上しているので、冷凍食品について古い固定観念を持ち続けるのは危険ですし、もったいないと思います」(柴田さん)
冷凍食品の人気商品といえば、チャーハン、餃子、コロッケ。それぞれの商品の安全性はどうだろうか。商品を手に取って裏側の原材料表示を見ると、ずらずらと添加物が並ぶ。
しかし、「冷凍食品の利用状況実態調査結果」(一般社団法人日本冷凍食品協会調べ)によれば、“冷凍食品を購入するとき、パッケージの表示を見ているか”という質問に対して、裏面の「添加物」を「必ず見る」人は、男女ともに10人に1人程度と注目度が低い。
「“冷凍だから安全”と考えている消費者も多いのではないでしょうか」
と言うのは小薮さん。
「冷凍食品には保存料は不要ですが、添加物は使われています。“便利、安全、清潔”と思われがちな冷凍食品。その裏に隠されている危険性を考えてほしい。つまり、おいしそうなパッケージの表側に騙されず、しっかり裏面を読んでほしいのです」(小薮さん、以下同)
例えば餃子で気になるのは、乳化剤と加工デンプンだ。
「乳化剤には天然と合成があり、天然の乳化剤は“乳化剤(大豆由来)”などと表記されていることもあります。大豆や卵黄に含まれるレシチンには乳化作用があります」
マヨネーズでいうならば、酢と油を卵黄で乳化させたものがマヨネーズだ。だが合成乳化剤には使用基準がなく、あらゆる食品に添加できる。
「添加量の規制もなく、さまざまな乳化剤を混ぜて使用している場合がほとんど。合成乳化剤には化学的に異なる何種類もの物質がありますが、どの乳化剤をどれだけ混ぜたかは表示されていない。
法令上、乳化剤の含有量の規制はなく、例えば添加物メーカーの工場で製造された乳化剤、グリセリン脂肪酸エステルの30%が不純物であっても消費者にはわからない」