認知症、がん……強い薬ほど身体を蝕むという事実
薬と密接につながり、切り離させない医療の現実。対症療法主体の現代の医療は「自然治癒力を低下させ、かえって病気を悪化させることも少なくない」と伊東先生は指摘する。
では、薬にはどのような危険が潜んでいるのか。具体例を挙げ、紐解いてもらった。
「胸やけなどの治療には胃酸の分泌を抑える薬が出されます。たしかに胃酸は抑えられますが、その分、食物や栄養の消化吸収を助け、細菌から身体を守る胃酸の機能低下を招く。結果、悪玉菌を繁殖させることになりかねません。また胃酸を抑える薬が認知症のリスクを高めるというエビデンスも発表されています」
前述した風邪やインフルエンザなどで出される抗生物質。その弊害はウイルスに効果なしというだけではない。
「抗生物質を長期間服用すると、体内の菌が遺伝子変異を起こし、抗生物質に対して耐性を獲得します。つまり、抗生物質が効かない菌が作り出されてしまうのです」
薬の効果とリスクは身体にとって表裏一体
いまや日本人の2人に1人がかかるとされるがん。がん治療薬の抗がん剤が強い副作用を伴うのは周知のとおり。
「抗がん剤はがん細胞を破壊する優れた薬です。ただ同時に、がんを患う患者さんの身体にも大きなダメージを与えます。抗がん剤が身体内から抜け切るには長い時間がかかり、その際、肝臓や腎臓、骨髄などを傷めるのです。抗がん剤など強い効力をもつ薬ほど、身体が蝕まれていくのは否めません」
更年期障害の治療で用いられるホルモン剤の投与も身体への負担が大きいという。
「保険で処方されるホルモン薬を用いた海外の大規模な研究では、乳がんや心血管疾患などのリスクが高まることがわかったため、研究が途中で中止になりました。この研究以外にも、ホルモン薬の副作用について多くの医学的根拠が明らかにされています」