六本木のお店にやってきて……
コロッケ しかも、秀樹さんは自分で自分をプロデュースしていた方。あらかじめ用意された服を着せられるアイドルとは違って、自分で服を決めるし、アイデアを出す。球場コンサートも秀樹さんが最初ですよね。
笠井 ソロシンガーとして初めて後楽園球場に何万人もの人を集めた。ほかにも芸能界でいろいろな歴史を切り開いて「音楽史」の中でエポックメーキングな方なんですよ。コンサートでお客さんがペンライトを使うようになったのも秀樹さんからですし。
コロッケ 『YOUNG MAN(Y.M.C.A.)』は洋楽のカバーですけど、誰かが話を持ってきても秀樹さんが「歌わない」って言ったらそれまで。最終的には秀樹さんが決めて、あれだけの大ヒットになった。その判断基準は「自分」よりも、どうすればファンが喜ぶか。いま思い出すと「これだったら、みんな喜んでくれるよ」とかって言葉がすごく多かった。
笠井 非常にサービス精神が旺盛な方ですよね。
コロッケ 僕が六本木でお店をやっていたときも、秀樹さんがコンサート終わりに遊びにきて、マイクを持って歌うんですよ。こっちは「いやいやいや……(恐縮)」みたいな。お客さんはもう大騒ぎですよ。『ギャランドゥ』のころですから。
笠井 そして、あの声でしょ。ちょっとハスキーな本当に魅力的な声で!
コロッケ 力強くうなったり、ささやいたり。1曲の中で3つ4つの声を使い分けて、しかも押したり引いたりが歌によって変わるんですよ。『サンタマリアの祈り』も『ブルースカイ ブルー』もぜんぜん違う曲ですけど、静かなときも激しいときもカッコいい。
笠井 秀樹さんのものまねってとても難しいんですよね? どうしても振りまねになっちゃうし、コピーしづらいオリジナルな人だったんだろうというか。
コロッケ だからまねをするにも、普通にやったんじゃ絶対に無理。もうふざけて、ちょっとだけやって終わるしかない。ちゃんとしようとする人がいないし、できない(笑)。まさに唯一無二のスーパースターです!
──コロッケさんは秀樹さんの結婚式(2001年)で余興をされているんですよね?
コロッケ はい。秀樹さんから直々に「五木ロボットやってよ。ぜったいにウケると思うから」と(笑)。
笠井 そっち!? 野口五郎さんじゃなくて(笑)。
コロッケ 五郎さんご本人が出席されていますから(笑)。たしか(木梨)憲武とヒロミも漫才をやった。でも、ああいう結婚式って芸能人と関係者ばっかりで、すごく緊張したのを覚えてます。