キャッチフレーズでわかる化粧品の真実
誰にでもある、化粧品を選ぶ基準にしがちなキーワードをピックアップ。「いいに決まってる」ではなく、根拠のある選び方を身につけて。
無添加 〜特定成分が添加されていないだけ!“ピュアな製品”ではない〜
化粧品において、「無添加」は理由なく記載できない単語。必ず「○○無添加」と、添加していない成分を明示する必要があるが、その成分名を記載すれば無添加という言葉が使える。例えば防腐剤の役割を果たすパラベンを無添加にしたら、同じ役割を果たす違う成分が配合されているはず。それが自分に合うか、見極めが必要になる。また化粧品は製造後、3年以降は品質を保てない可能性があるので注意したい。
薬用化粧品 〜効果を国が認めた成分が相当量配合された化粧品〜
厚生労働省が効果や効能を認めた「有効成分」が有効濃度配合された化粧品で、安全性も確認されている(医薬部外品)。ただ「薬用」とうたうための「有効成分」を記載する義務はあるが、全成分を表示する義務はない。また、表示する成分の順序にも決まりがないため、右ページのような「1%以下の成分」を見極めることができないという問題も。
オーガニック化粧品 〜本来は地球に優しい原料・製法で作られたもの〜
“肌に優しい”と思われがちだが、オーガニックはもともと哲学的な概念で、合理性・効率性にとらわれずに植物由来の成分の機能を生かした、地球環境に配慮するために生まれた製品。認証基準は認証機関によって異なる。
ただ、自然の成分の中には刺激が強いものもあり、トラブルがあった場合は原因が突き止めにくい。また、海外のオーガニック認証機関は多いが、日本にはまだ「オーガニック化粧品」という定義がないため、メーカーごとに独自に“オーガニック”をうたっているものも。オーガニックよりも緩やかな考え方の化粧品として「ナチュラル化粧品」という製品も存在する。
実は間違っていた!化粧品の「効きめ」
なかば常識化してしまった化粧品情報が実際は科学的根拠がないことも。正しい知識があれば今より簡単にお金をかけずきれいになれる。
「手作り化粧品」は肌に優しくない!
肌悩みから化粧品を変える人も多いはず。
「敏感肌だからと手作り化粧品を使う人もいますが、おすすめできません。市販の化粧品は製造時、衛生管理がされていますが、自宅では雑菌が絶対入ります。有効成分の濃度を正しく調整しないと肌荒れを起こすことも」
防腐剤など保存のための成分を入れていないため、腐ってしまい、肌トラブルを引き起こすこともあるという。
「乾燥肌だからと化粧水をたっぷり使う方がいますが、一定量浸透したらそれ以上は蒸発するだけ。塗れば塗るほど保湿力が上がるわけではないため、必要以上に塗っても意味がありません」
必ず裏面表示の「使用方法」に書かれている、メーカーが推奨している最適な使用量を確認しよう。
「美白化粧品」でシミは消えない
「美白化粧品の効果は『メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ』または『日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ』こと。紫外線が引き金となるシミを消すためのものではありません。薬用化粧品と表示された美白化粧品もありますが、医薬部外品申請をするために、シミを消す試験の必要もありません。美白化粧品については、消費者の期待とすれ違いがあります」
なお、いわゆるそばかす(雀卵斑)や肝斑には美白化粧品は効果がない。
「薬用化粧品以外にも美白効果のある成分を配合している化粧品もあります。配合成分濃度が薬用化粧品より高いものもありますが、たとえ美白効果があっても効能をうたうことはできません」
高級化粧品と100円の化粧品の違い
高級化粧品には最先端の研究成分が入っているものが多い。その開発費用が価格に上乗せされる。また、同じ原料でもグレードがあるので、より質の高いものが使われることが多い。そのほか、容器やテクスチャーなども影響する。100円均一の化粧品も安全性は認められているが、敏感肌や肌トラブルがある人は気をつけたほうがベター。
「自分にちょうどいいと納得できるバランスの製品が、“いい化粧品”になります」
教えてくれた人は……かおりさん
●一般社団法人美容科学ラボ代表理事、理系美容家。化学専攻の“リケジョ”という背景から、「科学的根拠のある正しい美容知識」の普及活動に従事。
<取材・文/長江裕子>