小鳥レスキュー会の保護施設の一角には小さな骨壺が並んでいる。

この施設で病気や寿命で旅立った鳥たちはすべて火葬しています。その遺骨が骨壺ひとつに20羽分ずつ入っています。

 そのうち160羽分は、10年ほど前、脳梗塞で倒れたブリーダー宅に駆け付けたときに息絶えていた文鳥のものです。文鳥は2日間エサを食べられないと衰弱死してしまうのです。

 でも、運よくまだ生きていた190羽はこの保護施設に連れ帰りました。その鳥たちはブリーダーによって大きなケージで飼われていて、狭いケージに入ったことがないので、ストレスを与えないよう、ここでは室内で放し飼いにしているんですよ。なので、取材にきた人には落ちてくる糞に気をつけてと言っています(笑)」

戸棚に無造作に置かれた骨壺。全部で300壺ほどあるという
戸棚に無造作に置かれた骨壺。全部で300壺ほどあるという
【写真】鳥の遺骨がひとつに20羽分ずつ入っている骨壷

700匹の世話代は月150万円

「保護鳥を家族に迎えたいと望む方も最近、増えています。譲渡までのプロセスとして、会員を1年間ご継続いただいたのち、複数回の面談を行っています。

 正式譲渡までいく里親さんは応募の半数にも満たないのですが、高いハードルを課したことで、新しい家庭で小鳥たちは幸せな日々を過ごしていると思います」

 保護施設で小鳥の世話をしたいと希望するボランティアも、増加傾向だ。

700羽の世話をするのに、1日18時間、1か月で150万円がかかります。ボランティアの方々、そして会費や寄付を納めてくださる方々のおかげで、小鳥たちはこうして元気に毎日さえずっていられるのです

 小鳥とはいえ、近年は15年近く生きるセキセイインコもめずらしくなく、オカメインコの寿命は犬や猫よりも長く、20~30年だ。コロナ禍でのライフスタイルの変化やSNSの影響など、人間の都合だけで安易に飼い始めず、鳥たちの理想的な家族に自分がなれるか、よく考えたい。

鳥好きのボランティアが交代で世話をしている
鳥好きのボランティアが交代で世話をしている
NPO法人小鳥レスキュー会 公式HP http://kotori99.org/
Twtitterアカウント:小鳥レスキュー隊の隊長https://twitter.com/bono2019

(ライター 臼井京音)