“やりすぎ”でげんなり、何事も「ほどほど」に

 ほかにも、卒業式で削ってほしいと感じるものについて、コメントではほかにこんなものを見かけました。まずは、呼びかけ(群読)や、歌・合唱について。

【呼びかけ】
「先生の考えたセリフを割り当てられて、叫ぶのは要らない」「人前で大きい声が出せない人もいるのに、何度も何度もみんなの前で練習をさせていた先生、異常だった」

【歌、合唱】
「歌、歌、歌の卒業式だった」「二学期後半から朝・帰りの学活はほぼ合唱の練習」「やるなら式典とは分けて行えばいい」「合唱練習しすぎて本番の感動が薄れた」

 呼びかけや歌は「不要」の声もある一方、「よかった」など肯定的な声もちらほら見られました。落としどころを探るとすると、「なくす」と「やり過ぎる」の中間で、「そこそこにやる」といったところでしょうか。

 校長やPTA会長の挨拶については、「なくして」という声は少なかったものの(ゼロではなかったのですが)、「もっと短く」という声は多かった印象です。

【校長やPTA会長の挨拶】
「とにかく長い」「校長の話が長かったのでうとうとしてた」「5分以内で、かつ、印象の残る内容にビシッと仕上げていただければ」「3分で良い」

 ほか、証書授与について「もっと短くしてほしい」という声(小規模校ではなさそうでした)や、「在校生の参列は不要」とする意見もありました。

【証書授与】
「時間かけすぎ」「クラスの代表一人だけでいい」「児童・生徒会長が代表で受け取って、教室で担任の教師が渡しても良い」「担任の方が嬉しい子もいると思う」「呼名、間を開けすぎ」

【在校生の参列】
「在校生が出る必要なし。寒い中で座ってるだけだし、寝てるだけ」「在校生のときの方が(動けなくて)辛かった。卒業生のときは動けるから辛くなかった」「(コロナ禍で)在校生も無しだったから体育館が広く使え、子どもを近くでよく見えて良かった」

 以上をまとめると、要は「卒業式の主役は卒業生」を前提に、やることを絞り込んでいけば、みんなが納得のいく式に近づいていく、ということでしょうか。

 「生徒ファーストで」。コメントのなかにあったこの言葉に、集約されそうです。

大塚玲子(おおつか・れいこ)
「いろんな家族の形」や「PTA」などの保護者組織を多く取材・執筆。ノンフィクションライターとして活動し、講演、TV・ラジオ等メディア出演も。著書は『さよなら、理不尽PTA! ~強制をやめる!PTA改革の手引き』(辰巳出版)、『ルポ 定形外家族 わたしの家は「ふつう」じゃない』(SB新書)、『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(太郎次郎社エディタス)など多数。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。

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