男性のための避妊用ピルがある

 妊娠の不安にさらされるのも、望まない妊娠で傷つくのも女性だけ……。そんな状況を変えるかもしれない研究がアメリカで進められている。

男性用の飲む避妊薬が米ミネソタ大学で研究・開発されています。特定のタンパク質の働きをピンポイントで抑制することで、精子の数を少なくして、妊娠を防ぐというわけです。マウスによる動物実験では99%の避妊効果があったといわれています」(植田さん、以下同)

 これまで男性の避妊方法には、コンドームか、パイプカットしか手段がなかった。

男性の選択肢が増えることで、女性の負担が軽くなるのを期待したいですね。避妊をめぐる問題はカップルの関係性も重要。避妊を相手任せにしてはいけないというメッセージも伝えていく必要があると思います」

コレステロールは低すぎても危険

 なにかと悪者扱いされているコレステロール。低ければ低いほどいいようなイメージがあるものの、「実は間違い」と秋津さん。

「血液中のコレステロールの数値が高いと問題がある。これは事実です。コレステロールが高すぎると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞などのリスクにつながります。

 ところが複数の研究調査の結果、コレステロールが低すぎると死亡率は上がることがわかってきました。コレステロールは血管の壁や細胞を包む膜を作る材料にもなっています。そのためコレステロール値が低すぎると、血管がもろくなってしまうんです

 どれぐらいの数値だったら問題ないの?

「男女ともに70~120ぐらいがベスト。70を切ると、下がりすぎの弊害が出るおそれがあります」(秋津さん)

逆境はメンタルを弱めてしまう

 逆境や困難に負けず、たくましく乗り越えていく。ドラマや映画でおなじみのストーリーだけど、現実は厳しい。

特に子どもの場合、暴力やDV目撃などの過酷な体験をすると、“大人になってからも心身の健康を損なうリスクがある”とニュージーランドの研究で指摘されています」(植田さん、以下同)

 虐待や親との別離など、子ども時代に受けた逆境の体験をACEと呼ぶ。前述の研究では、ACEがあった人はそうでない人に比べ成人後もうつや不安に陥りやすく、心臓病やぜんそく、関節炎にかかりやすい傾向がみられた。

「ACEの悪影響を挙げるだけでなく、そうした子どもに必要なケアについても研究を重ねてほしいところ。サポートの仕組みを作っていくことも大事だと思います」