第2位『ロングバケーション』('96年)
そして2位にランクインしたのが『ロングバケーション』('96年)。歴代の月9ドラマの中でも、平均視聴率29・6%という記録的な数字を残している。
「白いタキシードとウエディングドレスで、ボストンの街を駆けるシーンがありえないと思ったし、印象に残っています」(北海道69歳 無職)
「“何をやってもうまくいかないときは神様がくれた休暇だと思って”みたいなセリフが心に響きました」(神奈川県50歳 パート)
田幸さんは主人公の瀬名秀俊を演じた木村拓哉について、
「改めて見ると、この作品ではまだ完成された“ザ・キムタク”ではないんです。ナイーブ全開というか、気弱でちょっと情けなくて草食で……。
キムタクは絶対的な頼もしさというイメージがあって、彼が登場すると、なんでもできてしまうような説得力というか。でもロンバケの彼はそんなイメージとは違う“ダメさ”が滲み出ています。それも大きな魅力になっているんです」
また、作中で瀬名や山口智子演じるヒロイン、葉山南の何げない日常が視聴者の憧れにもなっていた。
「いろいろなことがカッコよく見えるように作られていました。スーパーボールをマンションの3階から落としてキャッチする、ワインを箱買いする、屋上で花火とか。あと、山口さんの膝丈のオーバーオールもファッションとして注目されましたね。
当時はこうしたことを“やってみた”という人が多かったです。ドラマの登場人物への憧れが、この時代はまだまだあったように思います」(田幸さん)
第3位『東京ラブストーリー』('91年)
3位に入ったのは『東京ラブストーリー』('91年)。小田和正が歌う主題歌『ラブストーリーは突然に』が印象的だった。ギターから始まる、あのイントロを聴くとドラマを思い出すという人も。
「どんな場面よりも、いちばんはあの主題歌」(埼玉県69歳 専業主婦)
「1話目を見た翌日、すぐにCDを買いに行ったことを覚えています。原作の漫画も全部そろえて、どハマりしたドラマでした」(埼玉県45歳 パート)
田幸さんは、織田裕二が優柔不断な永尾完治を演じたのは似合っていたと語りつつ、このドラマで強烈な印象を残した人物が頭から離れないという。
「ドラマをいろいろな意味で盛り上げたのは有森也実さんが演じた、“おでん女”こと関口さとみでしょう(笑)。“食べたいと言っていたから”と、完治の部屋におでんを持ってくるさとみ。いまだに人のカレを略奪する役がドラマに出てくるたびに、“おでん女”と呼ばれるくらいのインパクトがありました。
昨年放送されたドラマ『リコカツ』でも手作りの筑前煮とおでんを差し入れする女の子が出てきて、ネットでは盛大に“おでん女”と騒がれていました」(田幸さん)
ヒロイン・赤名リカ役の鈴木保奈美との対比も秀逸な“おでん女”。当時は完治とリカの恋路を邪魔する役として、視聴者からは演じた有森が恨まれ、事務所にカミソリ入りの手紙が届いたというエピソードも。