『妹よ』『愛しあってるかい!』も月9代表作

 ランキングでは15位と、上位に食い込むことができなかったが、田幸さんは月9枠として記憶に残っている作品に『妹よ』('94年)を挙げる。貧しい家庭と資産家、それぞれで育った2組の兄妹とカップルの行方を描いたラブストーリー。その魅力をこう語る。

「このドラマが放送されたのは'94年でバブルは弾けていましたが、まだまだ世間的には浮かれていた時代でした。そんな世情の中、和久井映見さんが演じた松井ゆき子というヒロインは、ものすごく実直で純朴。そして素直だけれど、心の強い女性。

 そんなヒロインの、ベタでピュアな照れくさくなるくらいのシンデレラストーリーというのが新鮮でした」

 バブルで浮かれた時代から、その後の社会が停滞していく流れの中、20%超えの視聴率は当たり前というくらいの人気を誇った月9ドラマ

「今振り返ると、バカバカしいくらいの陽気なドラマが作られていました。『愛しあってるかい!』('89年)や『教師びんびん物語』('88年)といった、はっちゃけたコメディーは、浮かれた時代の空気が生んだ作品なのでしょう」(田幸さん)

『教師びんびん物語』制作発表会見。熱血教師・徳川龍之介がハマリ役で、最高視聴率は24・9%('88年3月)
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 そんな枠もここ何年かは黄金期のような勢いはない。

「難しいですよね……。でも、恋愛ものから脱却したことで復調はしていると思います。何が正解かはわかりませんが、正解のひとつとして『監察医 朝顔』の成功があるのでは。医療ものと刑事ものをミックスしながらも、家族の姿をしっかりと描いています。こんなホームドラマの枠にするのもありかなと。

 視聴率をとりにいくより、攻めて挑戦するのもいいと思います。フジテレビはせっかくシナリオ大賞ということをやっているのですから、そこで発掘した人を育てる。

 あとは、オリジナル脚本のドラマが見たいです。どこかの局がやっていたと思いますけど、同じテーマで複数の脚本家がリレー形式で作っていく。そんな作品が見られる枠だと楽しそうですね」