広瀬アリス、コメディエンヌ的才能を発揮
しかし、一種の判官びいきというか、劣勢なほうに味方したくなるのもよくある大衆心理。それこそ、石田ゆり子や若乃花などもこの恩恵を受けてきた。
つまり、アリスにだってすずに負けないものがあるはず、という期待が高まることで、仕事が増え、本人も期待に応えようと頑張るという相乗効果だ。その収穫が、NHKの朝ドラ『わろてんか』で示したコメディエンヌ的才能だった。4月24日放送の『ボクらの時代』(フジテレビ系)でもこの作品が転機だと語っている。
ただ、その反面「主役をやらせていただけるように」なったことで「余裕がなくなって」という弱気な告白も。たしかに、この人はすずほど、主役タイプではないだろう。
例えば、アリスが『povo姉』というキャラに扮しているスマホのCM。そこで共演中の鈴鹿央士は、当時18歳のすずがロケ現場でスカウトし、すず由来の芸名でデビューした若手俳優だ。あのCMでのアリスは主役のようでいて、妹が見つけてきた事務所後輩の引き立て役でもある。そんなところにも、すずとの格の違いを感じてしまう。
前出の『ボクらの時代』では、舞台あいさつが苦手なことも告白。「あがり症」ゆえ「汗かきすぎて途中退場、というのも何回も繰り返してる女優なので」と苦笑した。
その5日後には、
《今日は『ポップUP!』に出演します!みんなに会えるの楽しみ楽しみワイワイワイワイ》
と、ツイート。ところが、この番組でも「汗かきすぎて途中退場」というハプニングが起きてしまった。
これまで、タフなイメージもあっただけに今回の一連の流れは痛手だろう。ただ、これを機に、もうちょっと楽なポジションで仕事できるようになるかもしれない。
PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)