2021年12月31日をもって閉店したビジュアル系バンドの聖地と呼ばれたライブハウス『高田馬場AREA』(以下、エリア)。
「エリアが入っている建物が老朽化し、建て替えを余儀なくされたことが理由のようです」(ビジュアル系バンドに詳しいライター、以下同)
閉店からもうすぐ半年。ライブハウスのあった建物は白い防音壁に覆われ、取り壊し工事が進んでいた。かつて街に多くいたバンギャ(ビジュアル系が好きな女性たちこと)もバンドマンたちもその姿はどこにもなかった。
「今年は『DIR EN GREY』や『MUCC』ら人気バンドが結成25周年を迎え、盛り上がっています。実はエリアも今年5月で25周年を迎えるはずだったんです。そんな記念すべき年になるはずだったんですけどね……」
そう前出のライターも肩をおとす。
「先月15日に逝去した元『La'cryma Christi』でギタリスト・KOJIさん(享年49歳)とユニットを組んでいた『ALICE IN ENSWEAR』のボーカルMICHIさん(元MASUCERA)も“エリアのステージに立つのが夢だった”と以前にツイートしています。活躍しているバンドマンたちの夢の出発点でもあり、活躍を期待する場でもあったライブハウスでした」
90年代後半『MALICE MIZER』や『SHAZNA』らに影響を受けて
多くのファンとバンドマンに愛されたエリア。その軌跡を振り返ってみるーー。
エリアは1997年にオープン。映画館だった場所をライブハウスに再利用して誕生した。スタンディングで400人ほどを収容でき、「中箱」と言われる規模。特にビジュアル系の若手バンドの登竜門的な存在だった。
「都内の他のライブハウスと比べてもビジュアル系バンドが数多く出演していたこともあり、バンギャにとって憧れの箱、聖地でした」
“ビジュアル系バンドの聖地”といえば『X JAPAN』や『LUNA SEA』らが出演していたライブハウス『目黒鹿鳴館』もある。
「1990年代前半に鹿鳴館に出演していた『MALICE MIZER』や『SHAZNA』『La'cryma Christi』らのバンドはビジュアル系バンドブームの走りとして、そのシーンを牽引してきました。それらのバンドが活躍し、有名になると次の世代が彼らを目標にするようになりました。1990年代後半には彼らに感銘を受けた若者たちがバンドを組み、ライブをするようになった。その中心となったライブハウスがエリアでした」