白井審判員の人柄とは

 あくまでルールに則った対応だというが、その姿勢には問題もあったようで……。

「白井審判員自身も、映像を見て“自分はこんな感じだったんだ”と反省しているかも。もうひとつ反省すべきは、取材に対し“話すことはない”という対応をしてしまったこと。“ルールに則った行動です”と説明すれば、大きな問題にはならなかったんじゃないかな」(山崎さん)

 そんな白井審判員は、野球ファンの間では有名な存在。

「甲高く大きい声でのストライクコールが彼の代名詞。そのとき、手をK(三振の意味)の形にするのですが、AKB48のダンスを参考にしたそうです。過去10年間で7度の退場を宣告していて、これは最多記録なんです」(前出・スポーツ紙記者)

「退場宣告が多い審判」となるとトラブルメーカーのように思えてしまうが、前出の山崎さんはこう語る。

「ネットでは叩かれてますけど、26年で1500試合以上、日本シリーズにも4回出場している。『審判員奨励賞』を2回もらっていて、むしろトップクラスの審判員です。毅然とした顔つきで怒っているように見えるかもしれないけど、試合中だから当然です。

 退場宣告が多いのも、彼がきちんとルールを守る証拠。然るべきときに退場させないのは、審判としてルール違反ですから。酒も飲まず、まじめでいいやつ。気さくで、若手からの人望もある人なんです

 意図せぬ形で話題を呼んだ、プロ野球に欠かせぬ“裏方”。決してブレない判断があるからこそ、選手たちは安心してプレーできる。


山崎夏生 元NPB審判員。29年間で1軍公式戦1451試合に出場。現在は「審判応援団長」の肩書で講演や執筆を行っている。著書に『プロ野球審判ジャッジの舞台裏』などがある