「一時的に振り込まれたお金が、銀行に“占有がある”と考えるかどうかで、どちらの犯罪にあたるかが決まりますが、“銀行に占有がある”と考えるのが現在の判例になるかと思います。容疑者が“悪質だから”無理やりその罪にしているということはないでしょう」
“執行猶予”がつく可能性もあるという。
「返還の意思があり、反省もしているような報道もありました。そもそも一方的にお金振り込まれたことによる誘惑という、かわいそうな面もあります。全額返済なら確実に執行猶予がつくでしょう」(同・弁護士、以下同)
では、町側はどのようにして振り込み額を“確保”したのか。
「町側の弁護士は“示談や交渉でなく、国税徴収法に基づいた決済代行業者3社の口座の差し押さえなどによって、法的に(ご入金された金を)確保した”と述べています。町側は、田口容疑者が振り替えた3社の住所を特定し、19日に債権を差し押さえ、取り立てを通知する書面を各社に渡した。その後、3社から田口容疑者の振り替え分の金額が町の口座に入金されたそうです」(社会部記者)
田口容疑者は返還の意思はあるが、「手元に財産的価値のあるものはなく、現実的に返還が難しい」と説明している。
差し押さえによる返還でも…
「4299万3434円の内訳は、田口容疑者が決済代行会社3社に出金した計4292万4691円と、田口容疑者の口座に残っていた6万8743円の合計だそうです」(前出・社会部記者)
となると……。
「カジノに使ったことが事実であり、たまたま勝った金で返しただとか、彼が返還したのではなく、彼が使った決済代行会社の口座を差し押さえたのであれば、自分から返した場合よりは悪質です。
しかし、それでも結果として“被害”が生じてないのであれば、執行猶予の可能性が高いと思われます」(前出・弁護士)
突然振り込まれた8桁もの金額。使い込んだ容疑者に罪があるのは当然であるが、彼の人生を狂わせたのは、彼の射幸心だけか……。