節制(1)住まい 〜狭くて古いが心地いい〜

 間取りは3DK、50平方メートルほど。5人家族で住んでいたときは狭いと感じることもあったが、その「目の届く」狭さがよかったと美智子さん。

子どもが小さかったころもみんなの顔が見えるこの広さが好きだったという美智子さん。今では自分好みの空間に(写真/林ひろし)
子どもが小さかったころもみんなの顔が見えるこの広さが好きだったという美智子さん。今では自分好みの空間に(写真/林ひろし)
【写真】YouTubeでも人気! 美智子さんの作るササッとおかず

「家族がいたころはなかなか自分好みとはいきません。でもひとりになってから不要な物を整理し、骨董の箪笥や古布などを取り入れて、少しずつ自分の理想のインテリアにしました。花も好きなので、リビングの飾り棚やトイレにはいつも飾っています

 大好きな花は、散歩の途中で摘んだ野花や、花壇で育てたもの。小さな空き瓶に入れて、部屋に彩りを添えている。

 昔、夫に「家を建てようか?」と言われたとき、「ここがいい」と応えたそう。

「夫はサラリーマンでしたから贅沢はできません。使うなら食べ物や子どもたちの教育にかけたかったんです。今となっては大正解」

 団地は家賃も安く、水まわりの設備など壊れたら修理もしてくれるので管理がラク。

「長年住み続け、どこになにがあるか目をつぶっていてもわかる自分好みのこの部屋で、のんびり暮らしたい。最期となる日もここで迎えられたら最高です」

 夫が亡くなったあとは「1日1品捨て」と決めて、家の中を断捨離。その分、自分の好きな物をそろえていった。

「食器が好きなのですが、お気に入りだけを残して、娘やお嫁さんにもらってもらいました。茶棚にゆとりができて、今では飾るように収納しています」

 手作りの布小物や絵手紙は、愛着があるので、飾って、見て楽しむ。ベッドカバーなど大物も残り糸で編んだもの。

「お気に入りに囲まれていると幸せで、さみしさも感じません。そんな空間であることを心がけています」

節制(2)健康管理 〜体操と階段で自然と丈夫に〜

 毎朝5時に起床して、6時には団地の広場でやっている体操に参加する。

手すりはしっかり持って、バッグは斜め掛けに両手はあけるようにして上る階段。下りはいまだに駆け下りるという健脚ぶり(写真/林ひろし)
手すりはしっかり持って、バッグは斜め掛けに両手はあけるようにして上る階段。下りはいまだに駆け下りるという健脚ぶり(写真/林ひろし)

「自治体がやっている健康体操を2つ、ラジオ体操第一第二とやります。ほぼ毎日、15年以上続けています」

 このおかげで身体の柔軟性が保てていると感じるそう。その後は、家の近くを10~15分ほどウォーキング。

「お友達と一緒に歩くことも。たわいない会話が楽しいです。本の話になることが多くて、お互いに読んだ本を交換し合ったりしています」

 80歳を越えるとひざや腰に不調をかかえる人も多いが、美智子さんは「特別痛いところはない」と言う。

「自宅は4階で、団地だからエレベーターなどありません。50年以上1日に2~4回は上り下りをしているので、それがいいトレーニングになっているのかも」

 無料でできる体操だと思えば、苦にもならないとか。

「駅でもほとんどエスカレーターは使いません。だから足腰は丈夫ですよ」

 とはいえ、87歳になりケガもある。しかしこれまで大病もせず身体は健康そのもの。日々習慣化された運動で、ムダな医療費などはかからずに済んでいる。