part1. 閉経前後の不調、どうする?
月経不順は自分を大事にする時期に入ったサイン。セルフケアを大切に
更年期の訪れを知らせるのが、月経不順。40代を過ぎて規則的だった生理のサイクルが乱れてきたら、更年期のサイン。自分の身体を大事にする時期に入ったということだ。
「閉経前後に心身に現れる不調は200種類以上ともいわれています。多い訴えは、疲れやすさとメンタル不調。怒りっぽくなったり落ち込みやすくなったりします」(高尾さん、以下同)
身体の曲がり角にやってきたなと感じたら、やってほしいのが生活習慣の見直し。食生活、睡眠時間の改善、そして運動習慣を取り入れること。自律神経の活動を促すためには、心拍数を上げる運動が効果的。1日のうち、軽く息が上がる程度の運動を少しでも取り入れたい。
「運動習慣を持っている人のほうが更年期のうつ症状が起こりにくいといわれています。私はエレベーターに乗ったらスクワットするようにしています。もちろん1人のときだけですが(笑)」
セルフケアだけでは改善しないと感じたら、迷わず婦人科へ。更年期の症状の緩和に高い効果を示すのが、ホルモン補充療法(HRT)。足りなくなったエストロゲンを物理的に足す治療法だ。例えば、更年期の症状で多いホットフラッシュは、HRTで大きく改善することが多い。
「女性がイキイキと生きることは、家庭や社会にとってもプラスになる。困っていたら我慢せず、周りの理解を得て」
放置すると危険も!間違えやすい病気に注意
更年期の不調には、ほかの病気と似た症状もあるため、見極めには注意が必要
更年期とよく似た症状を持つ病気のひとつに、甲状腺疾患がある。甲状腺機能はちょうど更年期に差しかかるあたりでトラブルが増えてくる。その症状が更年期によるものなのか、それとも別の病気によるものなのか見分けがつきにくい。
「例えば、甲状腺機能が低下すると、身体のだるさ、冷えなどの症状が出ます。また、甲状腺ホルモンが過剰に分泌するバセドウ病の症状には、ほてり、異常発汗、イライラなど、こちらも更年期症状と重なるものが多いんです」(高尾さん、以下同)
不正出血の原因は子宮がんの場合も
更年期には不正出血もよく見られるが、これは子宮体がんの症状と一致する。ほかにも、メニエール病や高血圧、うつ病など、似た症状が出る病気が多数あり、放置しておくのは危険。
「更年期障害は、ほかのさまざまな病気ではないことを確認してはじめて、診断名がつきます。病気の早期発見のためにも、更年期のトラブルを放置しないことが大切」
更年期障害と間違えやすい病気
不正出血⇔子宮がん
汗が止まらない・やせる⇔甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
だるい・冷え・薄毛・太る・無気力⇔甲状腺機能低下症(橋本病など)