両親のすねかじるニートに
美佳さんが大学生のころ、就職氷河期の真っただ中だったが、兄は父親のコネで中小企業に入社できたというが……。
「ちょっと上司に怒られただけで辞めてしまった。そこからずっとニートです。小遣いをもらっては出かけたりしているのでひきこもりではないのですが、当然パートナーもいないし高齢の両親のすねをかじっています」
美佳さんは就職と同時に上京し、家を出た。そのままほとんど帰省していないという。
「母は“お婿さんをもらいなさい”と何度も言ってきました。兄のことは諦めたのか知りませんが、たとえ私が子どもを授かったとしてもあの家族には一切関わらせたくない」
美佳さんは独身を貫く予定だという。
今回インタビューに答えてくれた2人の事例は、
「珍しいことではない」
と前出の弁護士。
「ストーカー被害者の会というのを定期的に開催しているのですが、ストーカーの家庭環境を調べる限り長男教がとても多い。もしくはその逆で放置されていたケースも。とにかく現実の自分と他者からの評価が乖離していることで悲劇を生んでしまうんです。子どものころの挫折経験は社会で生きていくうえでとても重要なこと。長男教のように、親が特別扱いして子どもがつまずく経験をさせないのは、誰も幸せにしない行為だと気づいてほしい」
息子をまるで教祖様のようにあがめたてても、誰も“徳”を積まないのだ。