保護者・子どもたちの賛否
「(授業中は“さん付け”にする決まりなので)授業中と休憩時間で、友達の呼び方を変えるのが面倒くさい」(小学3年・男子)
「“さん付け”は丁寧でいいと思う。男子に“おまえ”とか言われて、乱暴に“呼び捨て”にされるのがいちばん嫌」(小学5年・女子)
また、保護者の間でも賛否が分かれているようだ。
「娘の通う小学校では、女子も男子も、学年が下の子どもたちにも“さん付け”で呼ぶように指導しています。ジェンダー平等という点はもちろんですが、先輩・後輩の上下関係を変に意識してほしくないから、いい取り組みだと思います」(30代・女性)
「子どものころ、あだ名をきっかけにケンカしたり、親しくなったりした友人が結構いたんです。どちらも貴重な経験。その機会までも奪われるようで、今の子どもたちはかわいそう」(50代・男性)
日本トレンドリサーチが2020年に行った調査では、校則であだ名を禁止することに対し、18・5%が「賛成」、27・4%が「反対」と回答。さらに54・1%と半数以上を占めたのは「どちらでもない」という意見だった。回答の理由を見ると、前出のY美さんと同じく、あだ名を一律で禁じる学校の姿勢を疑問視する人が少なくない。
渋井さんは、「子どもにあだ名禁止を呼びかけるとき、学校側がどのように説明しているかが重要」と強調する。
「なぜルールが作られたのか理由を説明しなければ、ただ規則に違反したから罰を与えるだけになってしまいます。
そもそも嫌なあだ名というのは、いじめの雰囲気が醸成される中でつけられることがほとんど。侮辱的なあだ名だからいじめが起きるのではなく、その逆で、いじめが先に起きているものなんです」(渋井さん、以下同)