タバコの代わりにポテチ
さらに、思わず笑ってしまうような“日本風”演出が。
「暴力で高校を退学になった主人公とその父親がお酒を酌み交わすシーンは、『梨泰院』ではお店で父親がマナーを教えながら飲んでいましたが、『六本木』では、自宅でお酒を飲むフリだけで、父親は主人公の飲酒を制止していました。さらに、父親の交通事故の真犯人が大手外食企業の御曹司だと知った主人公が復讐を試みる場面では、『梨泰院』だと御曹司が病院の中庭でタバコを吸っているのですが、『六本木』では大雨のなか外でポテトチップスを食べていて……(苦笑)」
大雨の中のポテチにはSNS上でもツッコミが多くあったが、日本で体罰や未成年の飲酒・喫煙を描けないのは、コンプライアンス意識の向上の結果なのだろうか。
メディア研究家の衣(きぬ)輪(わ)晋一さんは、日韓のコンプラ事情を次のように分析する。
「日本では、90年代に過激な描写の作品が流行していました。韓国の作品は基本的に、昔の日本ドラマを参考にして作られていて、日本の“90年代的なノリ”がちょうど今の韓国にあるのではないでしょうか。そういう意味では、日本のコンプライアンス意識が“進んでいる”と言えばそうなるのですが、『六本木クラス』で過激な描写がなくなってしまうと、『梨泰院クラス』がもともと持っていた魅力が弱まってしまう可能性があるので、あまり優等生でいすぎないほうがよいのではないでしょうか」(衣輪さん、以下同)