批判的だった作品のファンは字幕版で観ることを選んだかもしれないが、映画公開後、吹替版を観た人からは山内の演技が意外に良かったという声が多く上がっている。なぜ“棒読み”が受け入れられたのだろうか。
「ロボット役ですし、英語を含め、各国語版でもAlexaやSiriのように抑揚のない台詞回しです。ソックスのシーンだけを切り取ると棒読みが際立ちますが、本編を観れば違和感がないと思いますよ」(前出・映画ライター)
“棒読み”が機械感を引き出すことに
SNSでも山内の吹替を観た人の肯定的な感想が多かった。
《猫型ロボットのソックス……かまいたちの山内さんの声そのまま。でもその“山内感”がソックスのキャラクターに不思議と合ってて良かったな》
《かまいたちファンだけど…というかだからこそ山内さんの吹替の仕上がりが心配だったんだけど、単調なロボットとしての部分とバズを想う相棒としての部分を持つソックスのキャラに合ってた気がする。たまーに見せるどこか憎たらしい反応もぴったりだった》
《かまいたち山内の、少し棒な演技を含めて魅力的なんだよな。ロボットという感情の無さを魅力に変えている》
《ネコロボットのソックスが非常にかわいかった。芸人の吹き替えやめろ問題は山内で違和感無かったのでよかった》
これまでも『モンスターズ・インク』の爆笑問題・田中裕二とホンジャマカ・石塚英彦、『ミニオンズ』『ペット』などのバナナマン、『トイ・ストーリー4』のチョコレートプラネットなど、海外のアニメーション作品の吹き替えは芸人が担当することが多かった。
しかし、それぞれがキャラクターの人気に一役買っている。かまいたち山内の棒読みも、吹替担当の演出からの要望通りであり、上手にこなしたと言えるようだ。
7月15日に公開された『ミニオンズフィーバー』でも、メインキャラクターの吹替に渡辺直美が採用されている。キャラクターが本人にそっくりということもあり、早くも注目の的だ。芸人のマルチな活躍は俳優やコメンテーターに留まらず、声優面でも期待されているのかも。
(文/志村結衣)