当時の深夜番組は『オールナイトフジ』(フジテレビ系)や『ギルガメッシュないと』(テレビ東京系)などお色気たっぷりのものが人気を博していた。

「あのころ、深夜番組は女性が見るものじゃないとされていたと思います。男性発信で、男性視聴者を想定して制作されていた。『DAISUKI!』はそこを疑ってみたわけですね。時代の流れで『11PM』は終了しましたが、同じ日本テレビということでスタッフがカブっている部分もあった。『11PM』からお色気を抜いたのが『DAISUKI!』。深夜に男女関係なく見られる番組を誕生させた、その功績は大きいと思いますね」

中山秀征に代わってから番組がヒット

 実際に盛り上がるのはパチンコや宝くじ、競馬などのギャンブル性の高い企画だったが、

「それだけだとオヤジ臭くなりすぎる。なので、女子受けしそうな季節のイベントなども取り入れていました。また『11PM』は遊びのプロが遊びを指南する感じでしたが、『DAISUKI!』は遊びの素人たちが遊びを体験するといったテイスト。『11PM』よりもずっと腰が低く、それも新鮮で受け入れられやすかったんだと思います」

『11PM』を彩ったカバーガールも、『DAISUKI!』ではCM前のアイキャッチで“大好き”と叫ぶ爽やか女子に。

「女の子の役割が完全に変わっているんですよね」

 このアイキャッチには若き日の篠原涼子や仲間由紀恵、上原さくら、辺見えみり、原千晶らも出演し、羽ばたいたとされているが、

アイキャッチの女の子は固定ではなかったと思います。9年も続いた番組ですから、あまた出演した中から、何人かは売れっ子になっただけの話で。『DAISUKI!』でブレイクしたわけではないですよ(笑)。もちろん芸能プロダクションやドラマのキャスティングに携わる人、雑誌を編集する人などは注目していたと思いますが」

 実は番組開始当初、中山秀征は出演しておらず、メンバーとして出演していたのは吉村明宏だった。

「スタートの1年後、中山秀征に代わってから番組はヒットしたんです。それまでは正直、パッとしない番組でした。それが、中山秀征を含む3人が東京の下町を歩くだけで12~13%の視聴率を取るように。中山秀征というのは、女性を気持ちよくさせる達人のようなところがあって。松本明子飯島直子を気分よくロケさせていたのは、画面を通しても伝わってきましたね。

 それは深夜番組をあまり見たことがなかった女性たちにとっても、すごく心地いいものだったと思います。中山秀征には、いい意味で女性が求めていたバラエティー感覚があったんだと思います」

『DAISUKI!』がスタートした'90年代初頭、バラエティー番組といえば『志村けんのだいじょうぶだぁ』(フジテレビ系)、『とんねるずのみなさんのおかげです』(フジテレビ系)、『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)など、作り込まれた笑いが主流だった。