「これをやりなさい」→「何をやればいいか考えてみよう」
夏休みの宿題の定番である自由研究。テーマを思いつかず悩む子どもを見ていると、「これにすれば」とついつい口を出したくなるが……。
「子どもが困っているから、と親が一から十までやり方を教えると、自分で意思決定ができず、主体性のない人間になるおそれが。『教えてあげる愛情』はその時点ではよくても、子どもの将来まで見据えると、弊害が多いといえます」
自主性を育むため、親はヒントを与える役割に徹したい。
「『何にしようか』という言葉をかけて、一緒に考えることで親子の距離が縮まります。子どもが何も思いつかない場合は、『これはどう?』と複数の案を提示。子どもの興味を優先してテーマを選択させると、主体性が育ち、自己肯定感も高まるでしょう」
「もう寝なさい」→「早く寝たら、朝に〇〇ができるよ」
夜ふかしして朝寝坊。その結果、寝る時間が後ろにずれ込み、生活リズムが崩れるのも夏休みにありがちな悩み。
「子どもにしてみれば、早く寝たところで自分に何のメリットもありません。ですからただ単に『寝なさい』と言っても、子どもに響かないのです」
この場合、子どもにとっての早寝早起きのメリットを示すのが正解。
「うちの息子はプラモデルが大好き。そこで、『早く寝たら、学童のお迎えまでにプラモデルができるよ』と言葉がけしたら、自分から早く寝るようになりました」
「LINEやめて」→「15分後に終わらせてケーキ食べよう」
延々と続けている友達とのLINE。うまくやめさせるにはどうしたらいい?
「LINEだけでなく、ゲームや漫画全般にいえることですが、『やめなさい』と突然、行為を中断するのはNG。『ザイガニック効果』という、脳が気持ち悪さを感じて、かえってそちらに注意が向く仕組みを発動させてしまいます」
そこで有効なのが、終了後の楽しみを提示しつつ、時間を指定する方法。
「15分後に終了、と猶予をもたせることで、頭の切り替えができます。『親がケーキ食べようって言ってるから、もう終わりにするね』と友達に断りやすくなるのも利点です」