熱中症は命の危険も、コロナ禍で医療ひっ迫
この時期、灼熱列島で特に気をつけたいのが熱中症だ。
「たかが熱中症と思うかもしれませんが、ここ数年、年間1000人以上もの人が命を落としています。なかには脳の神経中枢障害といった後遺症に悩まされる人も。特にダメージを受けやすいのは高齢者や子どもです。
高齢になると、皮膚の温度を感じるセンサーが衰え暑さを感じにくいうえ、体温調節機能が低下し体内に熱がたまりやすくなります。子どもの場合、汗をかく機能が未発達で、熱が体内にこもりやすいのです」
熱中症で救急搬送された人の数は、今年6月だけで全国で1万5969人。前年同月に比べて1万1024人も増えている。
「問題は、新型コロナ第7波で医療体制が逼迫していて、救急車を呼んでもすぐに来てくれないおそれがあること。そもそも日本の医療は地域格差が大きい。病院や医師の数自体、西日本のほうが多く東日本は少ない“西高東低”。都市部だから安心、というわけではないのです」
高温多湿の環境下では、体内の水分や塩分が失われ、脱水状態を起こしやすくなる。それを放っていると、身体から熱を逃がす機能が弱まり、体温が下げられなくなって熱中症に移行していく。
「脱水症状が引き起こす恐ろしい病気は、ほかにもあります。例えば脳梗塞。めまいやしびれ、吐き気など、症状が熱中症とよく似ていて、判別しにくいので厄介です。脱水症状を起こしやすい夏場は注意しなければなりません」
2018年に亡くなった西城秀樹さん(享年63)は、2度の脳梗塞に襲われ、入退院を繰り返したことで知られている。西城さんはサウナ愛好家で、水を飲まずにサウナに入ることが常だったと生前、ラジオ番組で明かしていた。
「体内の水分不足は脳梗塞のリスクを高めます。脱水症状を起こすと血流が悪くなり、いわゆる“血液ドロドロ”の状態に。
そうして血管が詰まると脳梗塞を起こしやすくなるのです。これを防ぐにはこまめな水分補給が重要。就寝中も汗で水分は失われていくので、枕元にペットボトルの水を置き、起きたら少量ずつ飲むよう心がけましょう」