男性視聴者は“ファンなりやすいが、離れやすい” 打った施策は
「いまでこそ当たり前になっていますが、動画内の喋り“すべて”にテロップをつけたのはヒカルさんが初めてです。喋るだけの“トーク動画”も彼の主力コンテンツ。電車などの公共の場でイヤホン、音声なしで見るシチュエーションを想像してつけたのだと思います。編集作業はスタッフがやっていますが、いまでも最終チェックはご自身でされていますね。また、動画においてかなり重要なタイトル付けやサムネイルづくりもヒカルさんの担当。
常に世に出ているYouTubeコンテンツを研究し尽くしている印象です。たとえばコメント欄の雰囲気だったりとか、伸びるYouTuberの分析ですとか、時代の移り変わりをうまくキャッチしているなと感じます」(すのはら氏)
YouTubeをあまり視聴しない層からすれば、炎上を起こしているイメージを持つ者も多いだろう。かつてはYouTube界最低の20万超えのBadがつけられた動画もあった。しかし、その度に不死鳥のごとく蘇り登録者を伸ばし続けた。
「炎上して登録者がどんなに減ったとしても『チャンネルを伸ばすには? 見てもらうためにはどうしたらいいのか』と試行錯誤しています。一時期の炎上は風当たりがとても強く、実家が特定されたりなど色々ありましたが、その状態でもまだ勝ち筋を見出して、この状況から伸びるにはどうしたらいいかを諦めず考え抜いたからこそ今のヒカルさんがあると思いますね。
例えば、炎上後に男性ユーザーについて“ファンなりやすいが、離れやすい”という経験則から、女性ファンを獲得するための施策を積極的に行っていた時期もありました。同じ登録者数でも女性向けチャンネルの方が多い“高評価数”と“コメント数”が多い傾向があり、ヒカルさんはそれに気づいた」(たけち氏)
2018年にはYouTuberの怪盗ピンキーとユニットを組んで楽曲を発表。現在は動画に出るときは毎回ヘアメイクをし、美容化粧品の開発まで行っている。女性ファンもかなり増えたという。そのようにして、炎上するごとにアップデートを重ねていった。
「女性ファンを獲得する際にも動画でそのことを視聴者にあえて公言するのがヒカルさん。ほかにもこれから再生数を伸ばしに行くぞという意思表示をするときに必ずカメラに向かって喋る動画を撮っています。視聴者に自分の気持ちを共有し、一緒にに盛り上げよう! と気持ちを高めるのが上手ですね。ファンが応援したくなる気持ちがわかります。今ではたとえ炎上が起ころうとも“それがヒカルだし”で済むというか、あまりダメージを受けなくなった印象です。ブランディングの賜物(たまもの)ですよね」(すのはら氏)