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ー 孫を預けても、感謝の言葉ゼロ
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ー 子ども夫婦に気を使うジジババの苦難 ー 提供できる時間、資金に「限度」を

 帰省シーズン、久しぶりに会うの姿に目を細めた人も多いのでは? たまに会うならかわいいが、日常的にの育児サポートを頼まれるのはキツイ……。今の60代、70代は、自分の時間も大事な元気世代。「勘弁してよ」のホンネも漏れてくる。

孫を預けても、感謝の言葉ゼロ

「保育園にお迎えに行ったあと、ご飯を食べさせてお風呂まで入れて。食物アレルギーにも気を使わないといけないし、ちょっと熱を出したら“悪いけど、お世話してね”と1日中、わが家が託児所代わり。まだ小さいから目も離せないし、もう疲労困憊だよ」

 そう顔を曇らせるのは60代のAさん。フルタイムで働いている娘夫婦から、世話係としてすっかりアテにされている。娘は“かわいいに会えて幸せでしょ”っていうスタンスで、感謝どころかねぎらいの言葉ひとつないと、こぼす。

 遊び盛りに食べ盛りの子ども相手の場合、持ち出しだってシャレにならない。交通費や食費、おもちゃ代。子ども夫婦が気を使って支払ってくれればいいが、こちらから請求するのもはばかられ、少ない年金を取り崩していくしかない。

 しかし周囲は「がいるなんてうらやましい」「しょっちゅう遊びにきてくれていいね」といった言葉をかけがちだ。「正直、がウザい」「預けられると負担で苦しい」と感じていても、ホンネをのみ込むしかない祖父母たちも多いのではないだろうか?

「今のパパママたちは子どもができても共働きが普通。祖父母を巻き込まないとやっていけないのだとは思いますが、いくら身内とはいえ節度やマナーがないと、トラブルになりかねません」

 そう語るのは、NPO法人育て・ニッポンで、育児やに関するセミナーなども受け持つぼうだあきこさん。シニア世代からのの世話にまつわる相談が増えているという。

「“育て”の文化自体は、何も最近始まったことではありません。むしろ、3世代家庭が一般的だった昔のほうが、祖父母世代がの面倒を見ることは当たり前でした。でも昔は、舅・姑が家を仕切ることが多く、ができても“その家の育て方”みたいなものに乗って回していればよかったんです。でも核家族化につれてそんな風潮も薄れ、個人の自由度が増えました。その結果、祖父母世代がパパママ世代のやり方に足並みを合わせるパターンが多くなったのです」(ぼうださん)