女性というだけで服を引っ張られたり、腕をつかまれたりといった直接的なハラスメントから、“妊娠した”“誰々とヤッていた”といったありもしない噂話や落書きが横行した。つらくなって頼ったのが、もう1人いた先輩の女性自衛官だったが……。
「相談したら“やられるアナタもアナタなんだから、身を引き締めなよ”って言われました。気持ちをわかってもらえないどころか、逆に“チヤホヤされて嬉しいんでしょ”みたいな感じで。10歳くらい上の先輩でした」
転属しても続く下劣な行為の数々
転属願を出したBさんは『千歳』に移る。そこでも強烈なセクハラにあってしまった。
「私が夜勤のとき、たまたま隊長も遅くまで残っていたんです。そこで“ちょっと来い”って呼ばれて部屋に入ったら鍵を閉められました。なんで鍵までと思っていたら“いいものを見せてあげる”って、隊長の席に座らされて、パソコンで外国人が出ている無修正のエロビデオを見せられました」
隊長は既婚者で、子どもがいた。若いBさんが抵抗できないと思ったのだろう。下劣な行為はエスカレートする。
「後ろに立って、私の肩を揉み出して……。“疲れてるでしょう、筋肉ほぐしてあげる”と。やめてもらおうと振り返ろうとしたら、私の頬にくっつきそうなくらい、隊長が自分の頬を後ろから近づけていて。さすがに驚いて立ち上がったら“ごめん、ごめん、ちょっと近すぎたね”なんて言いつつ、私を椅子に戻して、そのまま30分ほど動画を見せられました」
その後、部屋を出て行くBさんに「内緒だからね」とクギを刺しつつ、別の日には「また、おいでよ」と声をかけてきたという。
「とにかく気持ち悪くて。その隊長は、人がいないときを見計らって、私に近づいてくる。それで肩や手を触って、その手が胸の近くやデコルテまでタッチしてきて。触られると、ずっと鳥肌が立っていました」
Bさんより20歳以上も年上であり上司である男性が、それ以降も分別のない行為を続ける。
「当時、私には彼氏がいたんですが、それが隊長に伝わった途端、隊長はあからさまに私に話しかけなくなったんです。それは良かったんですが、嫌がらせとしか思えない扱いを受けるようになりました。陸曹になる試験を受けさせてもらえなかったり、行きたかった海外派遣の打診も、伝えられず勝手に断られていたり……」
後日、Bさんが周囲の人に聞いたところ、隊長はBさんがすごくお気に入りだったが、彼氏がいることを知って「いい雰囲気だったのに、アイツには裏切られた」と語っていたという。
「この隊長の下で頑張っても、嫌がらせが続くだけだと思って自衛隊を辞めることにしました」