「女性」へは「女性」がAEDを使用するべき?
男性が女性にAEDを使用する際のネガティブな印象が拭えない以上、意識を変えるのはかなり時間がかかると思われる。たとえ緊急事態であっても、近くに女性がいればかわりにお願いしたいというのが男性側の本音ではないか。また、この問題には、ネット社会以降にあらわになった、“生きづらい男性”側からの女性、あるいは世の中への不満、そしてそれが引き起こす“ネット上での男女の対立”という背景もあるように思える。
もちろん、さまざまな “誤解”の背景にはいろんな問題がある。
まずは、AEDの正しい使用方法が認知されていないことにつながっていないこと。2019年5月31日放送『未来スイッチ』(NHK)では、「2枚のパッドを素肌に貼る際に下着などを外さず、ずらす形で対応できるほか、パッドを装着後も衣服をかけるなどし、また周囲と連携して人垣を作ることで治療対象者を隠すなどの配慮ができる」と報道された。
それらの注意事項を踏まえていれば、トラブルになりづらいというのだ。ただ、命にかかわるときにどこまで配慮ができるだろうか。ネット上では結局、そうやって気をつかうことについて「めんどうくさい」という声もあり、またどちらにせよ素肌に触れる必要があることから「(男性側は)リスクがある」との意見も見られた。
あと根底として、男性がこれまでさまざまな状況で女性に対してハラスメントをおこなってきたという現実があることも忘れてはならない。男性への不信感の蓄積が、こういった問題に起因しているように思える。
AEDに限らず、男性が女性をサポートする場面というのは多々あるはず(もちろん逆も然り)。そういった風潮が、ネット上の“男女対立”で妨げられてしまうのは不幸なことだ。男女がお互いに意識のアップデートを積極的におこない、また知識を広げていかない以上、この問題はますます深刻化するのではないだろうか。