日本はがんで死ぬ国ストレスが寿命を縮める
年を重ねたら、食事であれもこれも制限することより、よく食べて体重を増やすことを心がけるくらいがちょうどいい。ちなみに和田さんが高齢者にすすめるのは、“最安値のブレイン(脳)サプリメント”である納豆。良質の植物性タンパク質を効果的にとれ、認知症予防に最適なのだ。
栄養の次に大切なのが、ストレスを避けること。
「アメリカやイギリスの人の主たる死因は心筋梗塞。ですから彼らがその可能性を高める血糖値やコレステロールを気にするのはわかります。ですが日本は、先進国で唯一、がんによる死が多い国。がんの原因のひとつがストレスですから、食事を制限するよりも先に、ストレスによって免疫力が下がることを避けてほしいのです。食事制限でストレスを感じていたら本末転倒。禁煙も同じで、ストレスになるならしなくていい」
免疫力を下げないためには、よく笑って毎日を楽しく過ごすこと。笑うと副交感神経を刺激して心身がリラックスするだけでなく、がん細胞やウイルスを退治するNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化して免疫力が高まる。
「さらには“頭も身体も若くいよう”“元気に歩ける自分でいよう”と意欲を持ち続けることが、とても大切です」
80歳、90歳でも若者顔負けの頭のキレと、スタスタ歩ける体力の人がいる反面、60代で歩けなくなる人もいる。
「コロナ禍による外出自粛で実感した人も多いと思いますが、身体の機能は使わないと衰える。その衰えは年を重ねるほど大きく、進行も速くなります。ですから脳も身体も日々使い続けることが大切」
わかっていながらそれができなくなってしまうのは、“意欲”を失ってしまっているから。意欲も脳や身体と同じで、持ち続けようと意識しないと減退する一方なのだ。
「記憶力が落ちることを恐れる高齢者は多いのに、意欲が衰えることを気にする人は少ない。しかし一度失った意欲を取り戻すことは難しいので、それを保つことをもっと重要視してほしいのです」
高齢の親には、まずは外出してもらい、友人知人と話したり、趣味や料理など、好きなことに打ち込んでもらおう。こうしたことこそが、生きる意欲につながるからだ。