選手がケガの際は1度プレーを止める
では、野球と同じく人気スポーツであるサッカーの場合はどうなのか。
●選手がケガで倒れている場合、ボールを蹴り出して、一度プレーを止める。その後のスローインで相手にボールを返す
Jリーグ福岡対名古屋の試合で問題となったのもこれを破ったことがきっかけだった。
問題のシーンは前半21分。福岡に負傷者が出たため、名古屋の選手が一度プレーを止めようと外へ蹴り出した。ルール上、福岡のスローインで再開されるが、名古屋にボールを返すのがマナー。福岡のスローインをした選手は名古屋のゴールキーパーに渡そうとボールを投げたが、これを福岡の選手がカット。ゴール前にいた別の味方選手にパスを出してゴールを決めてしまった。ルール上ではまったく問題ないプレーではあるが、紳士協定を破る得点に名古屋の選手や監督が猛抗議。両チームの監督同士の話し合いの末、福岡は守備を放棄して、名古屋に1点を献上することになった。
●おおむね2点以上リードしている場面で、リフティングドリブルやヒールリフトなどの派手なプレーはしない
南米の選手はこの不文律を重んじる傾向が強い。国際試合で日本人選手が洗礼を浴びたことがあった。2019年9月5日に行われた日本対パラグアイ戦。日本が2―0とリードしている前半終了間際に中島翔哉選手がリフティングをしながらボールを運んだ。これを挑発的なプレーと受け取ったパラグアイの選手が激怒。イエローカードが出るほどの激しいスライディングを中島選手にして報復した。試合後に中島選手は“ああいうプレーで気分を害した人がいるのだったら、全然それは目的にはしてないので謝りたいです。相手チームの選手は怒っていたので、謝りました”と謝罪したことを明かした。
●点差が開いた場面では負けているチームであっても、過度なスライディングなどの激しいプレーはしない
試合の結果がほとんど決まっている状況でお互いに不用意なケガを避けるために危険なプレーはしない。
●以前所属していたチームとの試合ではゴールを決めても過度に喜ばない
仲間であった選手や監督、チーム関係者やファンに敬意を示すため。