“値下げ文化”植え付けたメルカリの功罪

 メルカリで横行する値下げについて前出のITジャーナリストは、

ペイペイフリマの価格の相談をする画面
ペイペイフリマの価格の相談をする画面
【写真】正直ウザい……フリマアプリの「値下げ依頼」コメント

メルカリが値下げ交渉を容認したことで、フリマサービスにおいて“値下げ交渉は当たり前”という考え方、文化が作られたと考えます。そのため最初から売り値に“値下げ分上乗せ”で出品する人もいます。

 フリマサービスにおける値下げは、メルカリより後発のサービスでは“機能”として実装しているものもあります。たとえば『PayPayフリマ』では“価格の相談”という機能があります。購入を検討している人が出品者に値下げを希望でき、“いくらでどうですか”と交渉できる。出品者側も“値下げ歓迎中です!”などのコメントも掲載できます。

 フリマサービスにおける値下げ交渉は、かつて嫌われていた行為“悪習”が、メルカリによりやって当然という“文化”になり、それが今では機能として実装されるという“システム”になったのです」(前出・ITジャーナリスト)

 前述のとおりヤフオクは一時、値下げ交渉機能を付けていた(定額で出品された商品に限る)。

「ヤフオクは値下げ交渉を禁止していますから、やはり出品側のユーザーとしては迷惑な機能だったということでしょう。またヤフオクは購入価格を設定した“定額形式”もありますが、やはり“オークション形式”がメイン。

 値下げ機能のあるPayPayフリマは、ヤフオクを運営するヤフー株式会社によるサービスです。値下げ文化と差別化し、ヤフオクはオークション形式に特化したいという考えもあるのでしょう」(同・ITジャーナリスト)

 最後に値下げ文化を巧妙に利用する利用者の声を紹介する。

商品ページ閲覧数といいねがある程度の数字で、かつ値下げ交渉がたくさんくるような場合は、逆に少しずつ値上げしています。そうすると値上げに対してコメントがきますが、“需要と相場を考慮して調整しています”と答えます。そして“ご購入いただけるなら値下げ致します”と加え、出品時の元の金額に戻すとわりと売れる。

 値引かれてオトクになった気でもするのでしょうか。別に得はしていないのに(笑)。まぁ元の金額で購入しているので損もしていないのでいいでしょ、と思ってます」(出品者側)

 ネットを通そうが、結局は人対人のコミュニケーション。買う側も売る側も最低限のマナーは守りたい。